教室の日常から

2016年9月15日 (木)

今年は自習に来る生徒が多い

年度の初めから、席が空いているときはいつでも自習に来ていいよと生徒には伝えてあるのだが、なかなか利用する生徒が増えなかった。指導の後に質問時間で残ってもいいのだが、これもまたなかなか利用しない。以前は、しつこく質問していく生徒や習慣になって疑問点を必ず一つ確認していく生徒がいたものだが、この数年あまり見かけなくなっていた。

ところが、どうしたわけか今年は自習に来る生徒が多い。夏期特訓後の8月下旬から自習者が増えている。ほぼ毎日だれかが自習に来ている。生徒の中でブームになっているのか、理由はよくわからないが、自発的に学習に取り組むのはいいことである。

自習の場合は時間の制限もないし、教科も全く自由。学校の宿題を持ってきて片付けてもいいし、とにかく自分の考えで進めてもらっているので好きなように勉強して帰っていく。あまり短時間で帰る生徒は少なく、最低でも二時間から三時間は自習していく。雑談はほとんど無し。まあ、これは私がすかさず釘をさすので、雑談できない環境になっていることも関係しているのだろう。

教室が広く思えるほど閑散としていた夏休み前とは異なり、指導日の生徒と自習の生徒で活気づいていい傾向である。どこまで自習ブームが続くのか分からないが、これがきっかけで学習習慣が定着してくれたらいいなと思っている。

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2016年6月14日 (火)

因数分解

この時期は平方根に入っているので、そちらのほうが期末テストの中心になるのだろうが、それと平行して因数分解のチェックを毎時間の最初に行っている。この数年そうなのだが、因数分解の公式がきちんと使えない中三生が多くなった。もう少し正確な言い方をすると、学校の授業で習った当初や教室で演習したころは分かったように見えて、その実、何も分かっていなかったと後から気がつくことが増えた。

特に因数分解の公式2と3が使えない。確かに公式1で解けるものもあるので、とりあえず公式1でもよいのだが、問題の中に公式2か3を使わないと解けないものが入っている。何より高校数学に進んだときに困るだろう。

どういうときに公式2と3を使うのか、着眼点をその都度チェックし、公式2と3の左辺の形もきちんと書かせて練習させる。しかし、全部のパターンが混在した因数分解の演習問題を解かせると、ピタリと鉛筆が止まってしまう。やはり、どの公式を使えばいいのかという識別のところで迷っている。ここのところが一人でできるようにならないと、いつまで経っても因数分解がクリアできない。

それともう一つ。根本のところで、因数分解が元の式を因数の積で表すことなのだという定義がつかめていない。だから、積の形になっていないのに、そのまま因数分解の答えとしてしまって違和感を持たない。特に一度展開して式を整理してから因数分解する問題や置き換えを利用する問題などで、そういった因数の積の形にしていなかったりする。

昨年度までは、次の平方根の項目も大事なので、ある程度で因数分解の演習を切り上げたりしたが、秋になると全く因数分解が使えなくて二次方程式で苦労することがよくあった。それもあって、今年は少し長い期間因数分解の計算を徹底させてみようかと考えている。ここを確実なものにしておけば、後で少し楽になるはずだ。

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2016年6月 6日 (月)

中間テストが終わって

1学期の中間テストが終わってテストが返ってきたばかりだが、思ったほど取れなかった教科、意外と取れていた教科、生徒によってもまちまちだ。教室で受けている科目はまずまずだが、それ以外の教科が全滅というケースもある。

大体のところが想定した範囲内なので、あまり驚くようなことはないのだが、今月は中総体の地区大会があり、そのあとに期末テストという流れなので、日程的には落ち着かない。そもそも中三生は四月から、修学旅行・体育祭・中間テストと連続しているので一息つく間もなく毎日が過ぎていくという感じなのかもしれない。だから、中総体の地区大会が終わって県大会への出場がなければ、やっと勉強に向きあう気持ちになるというところなのだろう。

しかし、年々公立高校の入試倍率が低下し、受験勉強に対する動機付けは難しくなっている。短期的なものだけでなく、高校に入ってからも勉強は続くのだから、その基礎になる学力を中学で身につけることが大事なのだということを地道に訴えていくしかない。

そういうことで言うならば、本当はもっと早い段階から学習に取り組む意識づくりが必要だろうと思う。中三生になってしかも冬休みの直前、場合によっては冬休み明けの入試直前の時期でもなんとかなるだろうという認識を、中学生自身も保護者の方も持っていることが多い。だが、入試のみに絞っても、早い時期から時間をかけたほうが確実に実力がつく。その先の高校での勉強まで見据えて考えれば、入試直前の短期間ではなく、少なくとも中三生になってすぐの時期か遅くとも夏休み前くらいからスタートするほうがよい。

長い目で学力をつけていくということが必要なのだが、実際には短期間で結果を出すことを求められる。そういったニーズに対応できなければ塾としての評価は得られないだろう。しかし、付け焼き刃の知識は、所詮付け焼き刃でしかない。本当の力がつかなければ実力試験や入試には対応できない。一つのことが身につくまでは時間がかかるものなのだ。促成栽培では本当の学力とならない。

とは思うものの、まず当面は期末テストに向けてしっかり得点できる部分を確保させなければならない。一つひとつの具体的な試験で結果が出なければ、勉強に向かう動機付けもうまくいかない。長期的な視点を崩さず、短期的な結果を出していかなければなとあらためて思う。

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2016年4月30日 (土)

公布からちょうど七十年…か

中3の社会が、一学期は歴史の近現代史で、第一次世界大戦のところから始まっている。今年は教室で社会を選択している生徒がいるので、ひさびさに小ネタを入れた解説を楽しんでいる。

学校の授業進度とは関わりなく、第一次大戦からソ連崩壊までのポイントを一気に解説し、重要項目を空欄補充でチェックしてまずは全体の概略図を頭の中に作ってもらう。生徒は苦戦している。それはそうだろう、と思う。第一次大戦からソ連崩壊まで八十年弱だが、その中で覚えておいたほうがいい(つまりはテストのときによく出る)項目がぎっしりとつまっているからだ。まあ、早くて四、五回、場合によっては十回くらいも繰り返しチェックすれば覚えられるのではないかと思っているので、こちらは気長に見ている。

年代がなかなか覚えられないという生徒が多い。これも例年のことだ。ゴロ合わせで覚える方法も使ったりするが、近現代では「みんなイクイク(1919)ベルサイユ」のベルサイユ条約ぐらいで、あまり多用していない。それよりも十年刻みの三個セットのほうが、ある程度流れも分かっていいのではないかと思っている。

たとえば、よく使われているのではないかと思うが、1894・1904・1914という日清・日露・第一次の戦争セット。それに続く1919・1929・1939のベルサイユ条約・世界恐慌・第二次大戦など。まったく覚えられないという生徒には、とりあえずこの4つながりと9つながりの十年刻みセット二つだけは覚えるようにと指示している。

このほかにも十年刻みのセットができないかと考えていたが、次のものなどどうだろう。1931・1941・1951の満州事変・太平洋戦争・サンフランシスコ平和条約とか1936・1946・1956の二・二六事件・日本国憲法公布・日ソ共同宣言など。昭和元年が1926だから、高校生ならそこから始めたほうがいいのかもしれないが、中学の歴史では昭和元年を覚えておく意味があまりない(つまり西暦から元号に換算する必要がない)ので省略。

こうしてみると、今年は昭和元年から90年、二・二六事件から80年、日本国憲法の公布からちょうど70年という年なのだなあと改めて思う。おそらく5月3日の憲法記念日には、そういう見出しのニュースが流れるのだろう。それにしても100年前は第一次大戦中か。なんだか遥か昔の出来事のように感じる。けれども、百歳以上の高齢者がごく当たり前に暮らしているので、実はそれほど遠い昔ということでもないのだ。さすがに第一次大戦中のことを記憶している方はいないかもしれないが、二・二六事件や満州事変の記憶ならあるよという高齢者はおられるだろう。

敗戦から七十年が過ぎ戦時中のことを記憶している人は、たぶん八十代以上だと思う。これから十年、長くても二十年経つと空襲の恐怖や戦時中の不自由な空気を実感として覚えている人々がいなくなるということだ。実感を持つ人がいなくなると、机上の空論やら観念的な議論やらが幅をきかせることになるのかもしれない。シリアやイラクのように町が爆撃され焼け野原の広がる光景を目に焼き付けた人が、だれもいなくなる。そうなったときに、空論や観念論にやられないためには想像力しかないのではないか。すぐ近くに爆弾が投下され炸裂する恐怖や瓦礫の山に変わってしまった町に呆然と立ち尽くす人々の心境を、想像力で追体験していくよりほかに方法がないのかもしれない。

本当は、年代を覚えることよりもそのような追体験を持つことのほうが大事なのではないか。

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2016年3月19日 (土)

季節の替わり目

気がつくと一年の三分の一ほど記事の更新をしないまま過ぎてしまった。公立高校の入試も終わり、16日には合格発表があった。今年もおかげさまで、無事に全員合格。

当日は確認する高校が多く、全部で二時間近くかかった。まず一校目は、自宅から教室に向かう途中にある北上翔南高。発表の10分前で、すでに掲示される昇降口近くには受験生や翔南高の先輩たちが集まっている。3時になると、ワアッという歓声が上がる。いつも変わらぬ歓喜の渦。まぶしいほどのうれしさが伝わってくる。

合格を確認して足早に駐車場へ戻る。これから確認に向かう受験生や保護者のいくぶん緊張した面持ちも、例年に変わらないことなのだが、ああこの季節になったのだなという感慨が湧いてくる。

二校目の金ヶ崎高へ移動して、教室の生徒の番号があるのを確認する。今年は倍率が低かったので、何も心配することなく見に来ることができた。掲示されてから時間が経っていないので受験生の数は多かった。まだまだ確認する高校が残っている私は、そそくさと車に乗り込み次へと向かう。

残りの高校はすべて奥州市内だが、江刺区・水沢区・前沢区に分散していて手際よく回らないと生徒の来る時間までに教室に入れない。まず向かったのは、江刺区にある岩谷堂高。発表を確認に来た受験生や父兄がまだいるだろうと思って来たのだが、掲示板の前には誰もいない。拍子抜けがするほど閑散とした掲示板の前で、合格した生徒の番号を確認する。

そこから水沢区の水沢商へ回る。駐輪場に近いほうの校門から入ってしまい、掲示板まで駐輪場を通り抜けていく。さてと、あれっ掲示板がない。例年、掲示板は正門を入って左手に置かれる。ところがいつもの場所には何もない。どこだ、と一瞬焦るが、何のことはない。通り過ぎてきたところ、正門から右手にあたるところに高々と掲示されいるではないか。商業科だけの確認なのですぐに終了。

次は水沢高。あまり高くないとはいえ、今年も水沢商の情報システム科と並んで地区の中では一番の倍率だ。受験したのは、模試の成績や自己採点の結果などからして安全圏と思われる生徒たちだったので心配することなく掲示板に向かう。あるある。妹さんと思われる女の子と一緒の受験生が一人いるほかは、掃除中の水高生がちらほらいる程度。いつも水沢高に確認に来る時はこのような状態だ。

あと一校。最後に残っているのは、前沢区の前沢高。ここは三十年以上受験指導していながら、一度も合格発表の確認に来たことがなかった。小高い丘の上にあるので、冬場は大変だろうなと思いながら車でのぼっていく。そのまま校地に乗り入れると、右手の玄関脇に掲示板がある。今年は倍率が低く、再募集になると思われるが、それでも万が一ということがある。無事に確認して車に乗り込み教室へと向かう。ちょうど二時間。

雪がなくて、季節の移り変わりがはっきりしない暖かい冬からいつの間にか春になった。それでも、合格発表が終わると季節が変わったとしみじみ思う。これでこの一年も終わったという実感が広がる。

中3生のみなさん、合格おめでとう。ここから始まる新しい時間こそ大事なので、しっかり歩いて行って下さい。

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2015年3月29日 (日)

国語の読解問題

教室に通っているある生徒が、この間、「本を読むのは大好きだし、国語も苦手教科じゃないんだけど、テストになると点数が取れない」とぼやいていた。その生徒は、英語と数学を受講している生徒なので、普段国語を指導することはない。しかし、本好きでよく本を読んでいることは知っていたので、ハテハテと興味を持った。

話を聞いてみると、どうも自分が読み取ったこととテスト問題の要求する答えが合わない。面白い内容だとついつい文章に引き込まれてしまい、設問を忘れてしまう。ということなのだそうだ。なるほど。

これは読書好きな人にはある程度共通することなのではないかと思うのだが、「深読み」をしてしまうということがあるのだろう。この箇所はこうも考えられる、このような可能性もある、といった具合に読み込んでしまうので問題で要求されている項目の本筋が見えにくくなるということだ。「行間を読む」とか「眼光紙背に徹する」とかいろいろ言い方はあるが、批評的に読み込むときには、言外の含みとか反例などを思い浮かべつつ筆者の見解や主張に距離を置きながら読むほうがこちらの読みも深まると思う。しかし、試験問題に向かう場合はそのような深い読みは求められていない。あくまで筆者の述べる論旨に沿っていけばよく、中学生の問題であれば、例外なく本文中に解答箇所またはそのヒントがあるはずなので、それを見つけ出すだけで事が足りる。

つまり、報告書や取扱い説明書を読むようなつもりで、客観的に必要な部分を探し出していくという分析的読み方をするだけで問題は解けてしまう場合が多い。設問の文章そのものも、大きなヒントになる。理科の実験観察でもするかのように、要素を探し出して必要なものと不要なものを区分し、設問の要求する「形」に合うように整形する。こういう「ちょっと醒めた作業」をすれば大きく正答からずれることはない。

面白い内容だとつい引き込まれてしまう、という気持ちはよく分かる。読書好き人間の弱点とも言える。「あまり文章に愛着を持たず、できるだけ素っ気なく突き放して読んでみたら」とあいまいなアドバイスをしたが、文章そのものの面白さにのめり込んでしまうと設問からどんどん離れていくので、「醒めた」読み方は必要だと思う。

私自身、中高生のころは模範解答例と自分の答えが合わなくて???となることが多かった。自分の主観的な読み取りに重点を置いていたからなのだと今では分かるが、当時はなぜ模範解答例のような答えにならないのか悩んだ。できるだけ主観を排し、客観的に材料を探せ。国語の読解問題はこれが基本の鉄則ではないだろうか。

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2015年3月18日 (水)

昨日は合格発表

昨日はかなり暖かくなった一日だった。北上の高校から始めて、金ヶ崎、江刺を回り水沢の高校を確認するまで一時間半ほどかかった。今年も高校入試は全員合格。大学受験の方はうまくいかなかったケースが多かったので、まずは一安心。

この5,6年高校入試は全員合格が続いている。もっとも定員割れしている学校が多くなり、以前のようにハラハラしながら発表を確認に回るということのほうが少なくなっている。少子化の影響とはいいながら、高校入試を塾通いの動機付けにすることが年々難しくなってきたとつくづく思う。

しかし、大丈夫だろうと分かっていても、合格発表の掲示板の前に立つとちょっとドキドキする。万が一ということがないとは限らない。長年、必ず一人は不合格になる生徒がいて、掲示板に番号がないという現実に呆然としたことが多くあったからかもしれない。

これで今年度も大きな一区切りだ。今日から春期ゼミも始まる。新年度に向けてまだ十分な生徒数には程遠いけれど、まずは今出来るところから始めていこうと思っている。

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2015年3月13日 (金)

日常

教室の鍵を開けて中に入ると、まず留守電を解除する。録音されているものがあれば確認するが、間違い電話(これはかなり多い)だったりあまり重要なものはないので、ほぼすべて消去する。そのまま複合機のファクス機能の方も留守電状態を解除する。電話回線が複合機から電話機へつながっている関係でこのような二度手間をかけているわけだが、慣れてしまったので面倒だとも思わない。

冬場だと、そのままブルーヒーターのスイッチを入れ、PCの電源を入れる。どちらもすぐにつくわけではないので、流しへ直行しヤカンでお湯を沸かす。もう一度PCに戻り、ログイン画面でパスワードを入力する。それからトイレ掃除にかかる。毎日掃除しているので、これも自動的に体が動く。ブラシを使った掃除が終わる頃には、ヤカンのお湯が沸いている。その熱湯を二枚の雑巾に注ぎ、二度目のお湯を沸かす。

雑巾を放置している間、床のモップがけをする。一通りふき終わると雑巾が適度に冷めている。一枚はトイレ専用。便器をその雑巾で拭けばトイレ掃除は終了。もう一枚の雑巾は教室の机を拭くためのもの。適度に熱い雑巾で拭くと、机の表面についた手垢の皮脂が取れそうな気分になる。だから、真夏でも必ずヤカンにお湯を沸かし雑巾にかける。夏場は、雑巾そのものを熱湯消毒することの方が主たる目的となってはいるのだが。

掃除が終わるまでに再びヤカンのお湯が沸く。一旦火を止める。それからその日の生徒のファイルを机に並べる。座席は固定しているわけではないが、その曜日の生徒はほぼ同じ顔ぶれなので、だいたい決まった席に座ってもらう。ときどき欠席分を受けにくる生徒がいると、どこに座らせるかしばし考える。他の生徒がやってくる時間帯を思い浮かべて、この時間だとここらへんに座ってもらうことになるなとイメージが浮かぶと、そこにファイルを置く。

ファイルの指導予定をざっと一渡り確認する。指導予定は前回の指導が終わった直後に記入してあるので、不足しているプリントや配布物がないか、その日の予定で足りない分はないかチェックする。

これで一段落するので、ヤカンを再沸騰させる。コーヒーをいれて一息。あとはその日の状態に応じて、さまざまたまっている雑務に取り掛かることになる。

ほぼ一年を通じて300日以上同じようなルーティンだ。日曜日に教室を開けない回の方が少ないので、もしかすると330日とか350日とかかもしれない。毎日ほとんど変わりばえのしないような「日常」だ。しかし、そういう変わりばえのしない日常を送ることができるということこそ、本当は奇跡のような僥倖なのかもしれない。神は細部に、幸いは日常に宿る。つくづくそう思う。

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2014年3月14日 (金)

入試問題を振り返って・その4

前回に続き、岩手県の公立高校入試問題の数学。前回の第七問図形の証明までで68点取れる。毎年生徒には繰り返し伝えているが、この証明問題までの得点で数学の得点が決まってしまう。ここから後の問題は、(1)だけ確実に得点して32点中16点取れば上出来である。数学を苦手にしてる生徒は特にそうだ。100点満点の問題ではなく、84点満点の問題だと思えば全部解こうとあせらなくても済む。

ところが、今年の問題は、第八問から後がきつかった。いつもなら簡単に取らせてくれる(1)がなかなか取れない。グラフ問題も楽勝というわけにはいかなかった。

まず第八問。1次関数のグラフ問題で、例年であれば取りやすいものが多いところだ。しかし、今年の問題はきちんと問題文を読み、意味するところをしっかりつかまないとグラフすらあやしいということになりかねない難しさだった。(1)は白熱球とLED電球を使ったときの使用時間と総費用のグラフを描けばよいのだが、この「総費用」の意味がまず最初の関門。「電球の価格と電気料金の合計」とあり、白熱電球のグラフがすでに描き込まれているので、使用時間ゼロの時総費用は「電球の価格」だけだと分かればあとはそれほど大変ではなかったと思われる。生徒に聞いてみると、意味が分からなかったという声がいくつかあった。

次の(2)は、「1日4時間ずつ使い、何日使うとそれぞれの総費用が同じになるか日数を求めよ」というもの。最初に表の中に提示されている「電気料金」は100時間使用したときの料金なので、x日だと仮定しても単純に「4xかける表中の料金」が使用料ではない。また、「総費用」には「電球の価格」も忘れずに加えなければならない。ここまできちんと整理して考えないと等式に漏れがあって正しい答えにたどり着かない。よくできているけれども、論理的な思考力と注意力が求められる。

次の第九問は、2乗に比例する関数。これも例年どおり定番の出題だ。(1)のaの値を求める問題は、グラフ上の点の座標を代入すればよいだけで基本的な問題。これは正答率が高かっただろう。(2)の三角形の面積を求める問題が難しかった。底辺を求めるための点が直線上にあり、それぞれの直線の式を求めてから、各座標を決め、底辺と高さを任意の文字の入った式で表す。それらを利用して三角形の面積を求める式を立て、2次方程式を解く。最後に任意の文字の変域を確認して点Cの座標を確定する。細かくステップを分割しても、7から8段階は手間がかかる。特に最後の変域に留意しないと座標を一つに絞り切れないので、難易度は高い。

第十問は空間図形。(1)は三角錐の中にある三角形と合同な三角形を見つけるもの。直角三角形であり、斜辺が等しくなっていることに気がつけば「直角三角形の斜辺と他の一辺がそれぞれ等しい」という合同条件を思いだせたかもしれない。重なっている共通な辺に着目するとすぐに解けてしまうが、合同条件が浮かんでいないとあれこれ考え込んでしまったのではないかと思われる。

(2)の三角錐の体積を求める問題が難しい。入試問題が新聞に載った日に解いたときにはうまく解けたのだが、時間を置いて再度解いてみたら、最初の糸口がつかめず考え込んでしまった。45度という条件をどう使うのかがポイントなのだが、気づかないとそこから進めない。三平方の定理を最低二回は使うし、ステップを分割すると6段階ぐらいは必要な問題だ。

ちなみに空間図形の求積問題は、正四面体・三角錐・正四角錐・正八面体・四面体・円錐と圧倒的に「○○錐」を利用したものが多い。立方体・直方体・円柱の場合もあるが、錐をまったく利用しなかったのは、この10年ではH18年だけである。

さて、最後の第十一問。例年、数列的な考え方を求められる問題が多いのだが、今年は空間図形。正四角柱の中に直径が正四角柱の一辺と等しい球が入っている。正四角柱の高さは底面の一辺の二倍。球は正四角柱の中を動くことができるものとされている。この球が動いた後の立体を立面図・平面図で示してある。(1)はこれを元に、一辺が4の立方体の中を半径1の球を動かしてできる立体の平面図を定規・コンパスを用いて作図するもの。一見すると難しくないように思えるが、空間内の移動をうまく平面化できるかどうか。図形問題が苦手な生徒には想像しにくかったのかもしれない。

さらに輪をかけて難しかったのが(2)。球が移動してできる立体の体積を求める考え方が示してあり、空欄に当てはまる立体の個数を数え出せばよいだけの問題。しかし、これもルービックキューブのような64個の小さな立方体からなる立方体の見取り図を描いてみないと、何がなんだか分からない。私は実際に描いて考えてみたが、それでも数え落としがあって間違えてしまった。

終盤の四問が例年より難易度が高かったように思う。学習指導要領の改変後、扱う項目も増えたので、来年度も今年のような難易度になるのかもしれない。数学を苦手としている生徒には、確実に得点できる項目を一つ一つ増やしていくのが得策だろう。

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2014年3月13日 (木)

公立高校合格発表

今日13日は、岩手県の公立高校の合格発表日だった。雪ではなく雨が朝から降り続き、発表の始まる午後3時頃もやまなかった。

今年はこれまでで一番中三生が少ない年だった。それも、めまいがするほどの少なさだ。それでも期待と不安の入り混じった合格発表日独特の感触は、確認する生徒の多寡とは関係がない。

一校目。番号を控えた用紙を確認し掲示板に向かう。あった。他の学科より少し倍率の高いところを受験した生徒だったので、まずはホッとした。

次の高校までは少し距離がある。フロントガラスに当たる雨をワイパーで拭いながら走る。先ほどの確認の時に服についた雨のせいでウィンドウの内側が曇る。エアコンをかけ、曇りが取れるまでボンヤリとした視界のまま車を走らせる。

二つ目の高校は自分の母校だ。もう何年も校舎には足を踏み入れていない。何年かおきに受験する生徒がいて、体育館の脇を通り抜けて合格掲示板を見て帰るくらいだ。今年も同じつもりで訪れたが、体育館脇が通行止めになっている。屋根から落下する雪のためらしい。テニスコートを迂回する形で通路ができている。すれ違う高校生が「こんにちは」と挨拶をしていく。あわてて挨拶を返すが、なんだか照れくさい。

掲示板前にはほとんど人がいない。雨が降り続いているということと、発表の始まった時間からだいぶ過ぎているためだろう。掲示板の番号を追う。あった。ここを受けた生徒は、自己採点の結果も十分取れていたので問題ないだろうと思っていたが、その通りだった。

そこから三つ目の高校を目指す。今年はこれで全部だ。ありえないほど確認する高校が少ない。国道四号線を奥州市方向に向かって南下する。学校の敷地に車を乗り入れると、ここもほとんど人がいない。けれども、ぽつりぽつりと人がやってくる。掲示板の前に進み確認していくと、一人だけ番号がない。

ちょっと待てよ、この番号は変だ。手元の控えを見ると、あきらかに間違った番号だ。私がタイプミスしたのか、それとも生徒が間違えて伝えたのか。一人だけ確認できないまま、教室へと戻った。

夕方からの授業に、私立専願で早くに合格の決まっている生徒がやってきた。三月下旬までは教室に通う予定の生徒だ。この生徒に、公立高校の合格状況を尋ねてみる。どうやら確認できなかった一人も合格したらしい。まずはこれで一安心。同じクラスで不合格だったのは、男子二人だけらしかった。

そうこうしているうちに合格しましたという電話や、直接挨拶に来てくれる生徒・保護者の方もあり、いつもの合格発表日の教室らしくなった。今年も高校入試は全員合格だ。長いような短いような一年だった。

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