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2016年7月25日 (月)

7月22日の亀裂

先週の金曜日、ポケモンGOの日本版配信が始まった。その日の報道はポケモンGO一色と言ってもよいお祭り騒ぎだった。官房長官が定例会見で安全を呼びかけたということも報じられた。国民の生活に関係することだから、官房長官が記者会見でゲームの利用のしかたに注意を喚起しても不思議ではないかもしれない。

同じ日の沖縄県、高江のヘリパッド(米軍のヘリコプター発着場)建設予定地では、入り口に反対派の置いていた二台の車を、約500人の機動隊員が強制排除した。フリーランスのジャーナリストがその様子を詳細に伝えている(こちらこちら )。これを「暴力的」な排除と呼ばずして何と言うのだろう。

しかし、この沖縄の高江の強制排除の模様は、マスコミでは大きく取り上げられらなかった。ポケモンGOの日本版配信が、強制排除の日と重なったのは偶然かもしれない。あるいは意図的な誰かの演出だったのかもしれない。それは分からないことだから、あれこれ詮索しても始まらない。ただ、この22日の社会のあり方は、そこに大きな亀裂があることを私たちの目の前に示している。

スマホを使った位置ゲームに過ぎないじゃないかといえばそれまでだが、リアルな現実空間の中でゲームを展開していくことが面白いだろうということは理解できる。歩きスマホや不法侵入や危ない場所への立ち入りなど、懸念されていることがらもあるけれど、没入する人が増えてくるのも分からないわけではない。しかしそれでも、それは所詮「ゲーム」でしかない。

一方の沖縄の高江の出来事は、現実に人がこづかれたり蹴られたりして、「権力」の行使のされ方が目に見える形になったものだ。沖縄の人びとの意思より、米軍との関係を重視する(安全保障条約をもとにした対米従属がある以上、他の選択肢はないと思われているからだろうが)現政権の立っている所を明瞭に示したものである。

この同じ日の二つの出来事が、一方はお祭り騒ぎの浮かれ樣で報じられ、一方は片隅にちょっと触れられただけ。バランスが悪すぎる。ポケモンGOにハマっている人には、沖縄の高江のヘリパッド問題は見えないのだろうし、ハマっていない人でも、報じられなければ高江のことを知らないまま「ポケモンGOってゲームが流行ってるんだってねえ」ということで終わりだろう。

いっそのこと、沖縄の高江のヘリパッド建設予定地にレアなモンスターが出没するということにしたらどうだろう。不法侵入するゲーマーが後をたたず、連日強制的に排除されるというニュースが飛び交うようにでもなれば、少しは人びとの目が高江に向くかもしれない。

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