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2016年7月13日 (水)

のど元すぎれば

参院選の結果が出てしまうと、とたんにマスコミの話題は都知事選へと移っている。マスコミは最新の話題と情報にはとびつくが、すでに大勢の決まってしまったものは新たな動きが出てこない限り取り上げない。

一方、研究者や学問の世界は、一定の時間が経過してカラカラに干からびてからでないと取り上げない。学問的な対象になるものは、事実関係が固定し評価を下せるようになったものだけだからだ。切れば血が出るような生々しいものは、その対象として不適切だとされる。

その中間を担う調査報道を主とするジャーナリストが、日本では少なすぎるのではないか。あるいは、存在していても仕事がしにくい、ということなのか。海外に目を向けると、アメリカでもどこでも、単独あるいは少人数で深いところまで取材している調査報道専門のジャーナリストが存在している。企業ジャーナリズムではなくフリーランスのジャーナリストがもっと評価されるような環境になれば別だろうが、日本ではなかなか難しいようだ。

そういった状況が何をもたらすかと言えば、大手マスコミによる「情報操作」である。おそらく大手マスコミには「情報操作」をしているという意識はないのかもしれない。しかし、常に新しい話題にとびつき、反響があればさらに煽り、どうでもいいような話題をことさら大きく取り上げることは、結果的により重大な問題から人びとの目をそらすことになる。意図的ではなくても、これを「情報操作」と呼ばず何と呼ぶのだろう。

参院選後の最重要事項は、現政権がいつ憲法改正に着手し、その改憲案がどのようなものになるかということであるはずだが、現時点の話題の中心は都知事選である。都知事選が関心事となるのは東京都民にとってであり、それ以外の道府県に住む人間には直接関わりがない。しかし、都知事選の結果はオリンピックに大きく影響する。それに連なる建設利権や広告利権、放送利権などを考えれば、政界、財界、マスコミ業界にとっては最も注目すべき話題である。

ということで都知事選が終わるまでは、しばらくの間それ一色になるのだろう。しかし、大手マスコミが取り上げないからといって問題がなくなってしまったわけではない。大手マスコミに取り上げられない問題にこそ、我々の暮らしに直結した重要なものがいくつもある。お祭り騒ぎに乗せられてしまわないように、のど元過ぎても熱さを忘れずにいたい。

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