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2016年5月17日 (火)

いま私たちの立っているところ

今年の夏に参議院選挙がある。衆参同日選になるのかどうか分からないが、この先の歴史を大きく変えてしまうかもしれない重大な意味をもつ選挙となる。これまでの国政選挙のように投票率が上がらず、結果丸投げの選択をする有権者が多ければ、おそらく引き返すことのできない隘路へと突き進んでいくことになるだろう。

それは、安保法制が継続されることや憲法改正が現実化されることだけを意味するのではない。もっと底の深い、体の芯から冷えてくるような社会の変化がもたらされるということだ。憲法改正の手順は、まず第九十八条として緊急事態条項の新設。次に第二十四条の「家族、婚姻等に関する基本原則」の改正。その次に第九条の第二項を「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」と改めるという流れ。

この中で、第九十八条として新設される「緊急事態条項」がきわめてマズイものであることについては、一昨年の記事(こちら )でふれた。記事に引用したリンク先に、現行憲法と自民党改憲草案の詳細な比較があるので、そちらにぜひ目を通して頂きたい。

なぜ、「緊急事態条項」の新設からなのか。それは現政権の背後にある勢力の意向がそうだからだ。こちらのサイトに菅野完氏の「草の根保守の蠢動」という連載が載っている。検索結果ページの中段くらいに1〜7とページ番号が出ているので、「7」のページの「安倍内閣を支配する日本会議の面々」という記事からさかのぼって読まれるとよい。

このシリーズは扶桑社新書から『日本会議の研究』として最近書籍化されたばかりだが、菅野完氏のツイートによると「在庫払底にてご迷惑をおかけしているものの、現在、三刷目を鋭意重版中!近日中には全国の書店に再びお目見得します」とのこと。そういうことで、本が手に入らないので、サイトに掲載されたシリーズを一通り読んでみた。

深いため息が出る。戦前の日本に回帰するつもりなのか。安倍政権の背後にある勢力は、地方議会から積み上げ、選挙では「日本会議」を構成している各宗教団体の組織を動員し集票の実を挙げるという、きわめて地道な手段で長い年月をかけて着実にここまで進めてきた。宗教団体が関わっているからマズイというのではない。宗教団体が政治活動をすること自体は、何も問題ではない。政教分離は、国の宗教的活動や宗教への援助を禁じ、宗教の特権や政治上の権力行使を認めないというものとされている。宗教団体の政治活動を禁じるものではない。

問題は、宗教団体が関わっているから怪しいとか、いわゆる「陰謀論」的な底の浅い話ではないというところだ。「日本会議」を実質的に動かしている一群の人々は、「本気で」戦前回帰を考えている。そのために有効な手段を一つひとつ着実にこなしてきている。数年ではなく数十年に渡って活動している筋金入りの人々が、その中枢にいるのであり、実績も出してきている。

今年の参議院で改憲勢力が圧勝すれば、憲法改正が現実のものとなる。彼らの望む「美しい日本」というのが、いかなる姿をしているのか、ぜひとも菅野氏の述べるところで確認してみることをお勧めする。「徴兵制」論議など、まだまだかわいいものにしか見えてこないのではないかと思う。

いま私たちの立っているところは、切り立った断崖の先端部なのだ。

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