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2015年11月16日 (月)

見たくなかった現実が

できることなら嫌なものものは見たくない。毎日おもしろおかしく過ごせたら、それに越したことはない。自分の手に余る、解決しようのない、途方にくれてしまうような問題には目をつぶりたい。そこにあるのに、無いことにしてしまいたい。

しかし、先送りしてもいずれは現実に直面しなければならない。根本の問題がなくなってしまわない限り、それは必ずやってくる。

福島第一原発で事故が起きてから、すでに四年半以上が経過した。あの頃一番気になっていたのは、五年先十年先にどういう影響が出てくるかということだった。チェルノブイリという先行事例を参照すれば、それを思わないほうがどうかしている。特に、放射能の影響を受けやすい子どもたちのことが心配だった。

「ついに」と言うべきか、「やはり」と言うべきか、福島の子どもの甲状腺がん発症率がきわめて高いという岡山大学津田敏秀教授の論文が発表された。11月8日には、東京の日本外国特派員協会で記者会見が行われている。大手マスコミにはほとんど取り上げられていないが、Web上では注目を集めているようだ。予想されるように、論文についての批判も多い。

まずは、外国特派員協会での記者会見を取り上げた「ハフィントン・ポスト」の
「福島の子供の甲状腺がん発症率は20〜50倍」津田敏秀氏ら論文で指摘
で概要をつかめる。

この「ハフィントン・ポスト」の記事を批判したのが、池田信夫氏の
津田敏秀氏の「福島で甲状腺癌20〜50倍」は誤りだ
放射線分布図と発症率の地図が重ならないことや数値の扱いを、主として批判している。

数値の妥当性を判断することはできないが、放射線分布図と発症率の地図が重ならないことは不思議ではないのではないか。放射線分布図は主としてセシウム137による線量をもとにしているはずで、半減期の短いヨウ素131そのものの分布ではない。放射性ヨウ素は「プルーム」と呼ばれる状態で拡散しているので、必ずしも放射線分布図と一致するわけではないはずだ。(たとえばこちらの分布図 など)

もう一つは、避難による移動の問題だ。この発症率の図が、避難前のもともとの住所で示されているのか、避難後の住所で示されているのか分からないので判断できないが、仮に避難後の住所で示されているとすれば、当然のことながら放射線分布図と一致するわけがない。池田氏は発症率の地図の妥当性を問題としているが、重要なことはそこではなく、発症率の倍率だろう。

専門家である医師から寄せられた批判・疑問に対する津田敏秀氏の回答がこちら。
岡山大学チーム原著論文に対する医師らの指摘・批判への、津田敏秀氏による回答集
岡山大学チーム原著論文に対する指摘・批判への、津田敏秀氏による回答集その2
数値の妥当性など、細かい疑問・批判に対し、丁寧に回答されている。

日本外国特派員協会での記者会見そのものも、いくつかWeb上にあるが、たとえばビデオニュース・ドットコムの
福島の甲状腺がんの異常発生を認め早急に対策を 岡山大学の津田敏秀教授が会見
など。

見たくないものにフタをするのではなく、現実に目を向けて声をあげるべきではないか。

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