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2013年10月19日 (土)

江戸的スローライフのすすめ・その40

寒くなってくると鍋物がいいなと思うように、落語が聞きたくなってくる。どちらもほっこりと温まるような気がするからかもしれない。『二番煎じ』などは、鍋が主役の噺で、鍋と落語がいっしょに楽しめる。冬の噺の定番かもしれない。

そういう季節感に沿った噺を選んでみようかと思ったが、冬はともかく、秋と限定される噺が浮かんでこない。ありそうで、なかなか思いつかない。『柳田格之進』の中に、萬屋源兵衛宅で月見をするので柳田様もいかがでしょうと誘いが来る場面ぐらいしか出てこない。あるいは上方落語の『豆狸(まめだ)』の終盤、散り敷いた銀杏の葉が、風に吹かれてさあっと豆狸の死骸を覆う場面などだろうか。

同じように、ありそうで少ないのが仇討物。『宿屋の仇討』『高田馬場』『花見の仇討』いずれも本当の仇討ではないところが落語らしい。

まずは『宿屋の仇討』から。ある宿屋に一人旅のお武家様が泊まる。このお武家さん、前夜に小田原の宿で狭い部屋に相部屋で寝かされ、有象無象といっしょでよく眠れなかったから、静かな部屋を頼むと客引きに伝える。ところが、後からにぎやかな江戸っ子の三人連れが、その隣の部屋にやってくる。

お武家さんからたびたび苦情があり、その都度、江戸っ子三人組は静かになる。しかし、床に入ってからも三人で四方山話をしているうちに、話が盛り上がってしまう。

三人の中の一人、源兵衛という男が、その昔ふたり人を殺(あや)めたことがあると語り出す。さるお武家様の奥方に口説かれて、お屋敷で酒をごちそうになっている時に、屋敷の主の弟が「不義とは不届き」と乗り込んできて、あやうく斬られそうになった。縁の石に足を取られて相手がこけたところを幸いとばかり、刀を奪って突き殺してしまった。

奥方は一緒に連れて逃げてくれと言う。あるだけ持って逃げましょう、と金を取りに奥に入った後ろからつけていって、この奥方もブスリと殺しちまった。女連れでは足手まといになると思ったからだが、どうでぇ、こんなすごい話は聞いたことがねぇだろう、と源兵衛は自慢する。聞いていた二人はやんややんやと喝采を送る。

すると隣のお武家さんが宿の者を呼びつける。実は拙者、妻と弟の仇をたずねて旅をしておる。幸いこの宿でその仇にめぐり会うた。この場ですぐに仇討成敗してもよいが、それでは宿にも迷惑がかかる。明朝、宿はずれにて出会い仇とするから、その男と仲間二人を縛り上げておけ。逃がした場合は宿の者をみな血祭りに上げるから、そのつもりでおれ。

さあ大変。あわてて宿の者たちが江戸っ子三人を縛り上げる。源兵衛は、あの話はどこかの居酒屋で聞きかじった話を自慢話に変えたもので、おれのことじゃない。ウソだから勘弁してくれと泣き言を言うが、宿の者は聞き入れない。

翌朝、気持ちよく目覚めたお武家さんは、世話になったと宿を出ようとする。驚いた宿の者が、縛り上げた三人をどうしましょうと訊ねる。するとお武家さんは、ああ、あれはウソじゃ。ワシには妻も弟もおらぬ。拍子抜けした宿の者が、どうしてあのようなことをおっしゃったのですかと言うと、なに、ああでも言わねばワシが寝られんじゃろう。これでサゲとなる噺である。

源兵衛の自慢話もデタラメだったが、お武家さんの仇討話もでまかせという応酬がおもしろい。長くなったので、残りは次回。

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