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2013年9月19日 (木)

北方謙三『望郷の道』

数年前にこの小説が幻冬舎から刊行されたとき、北方謙三が自分の曾祖父母をモデルにした作品であるという新聞広告を目にした。読んでみたいなと思いながら、「大水滸伝」シリーズの『楊令伝』の方に集中していたので、なかなか手に取る機会がなかった。

上・下巻だったが、一気に読んでしまった。途中で本を置くのも惜しいくらい、面白かった。面白い、というひと言では軽すぎる。激しく心揺さぶられた。人の生きる営みが、その文章からありありと立ち上がってくる。傑作としか言いようがない、気合いのこもった作品だと思う。数々の歴史小説シリーズやハードボイルド小説の諸作品を読んだことがなくても、この小説一つで北方作品の魅力は十分すぎるくらい伝わるだろう。

任侠映画と大河ドラマを足して二で割ったような主人公夫婦の半生は、実に潔い。この潔さは明治の人たちに共通する美質なのではなかろうか。そして生きることへの必死さ。忘れてはいけないものが、そこにはある。あらすじはあえて紹介しないので、ぜひ多くの方に直接味わっていただければと思う。人が生きることへの愛しさと勇気を与えられる小説だと思う。

ところで、この小説を映画にするとしたら、主人公夫婦役を誰にするだろう。任侠映画の全盛期なら、梶芽衣子と高倉健で決まりなのだが、今の俳優でこの二人に匹敵する迫力を出せる人がいるのだろうか。二十代の初めから四十代くらいまでを演じることになるので、三十代くらいの俳優となるのだが…。特にヒロインが難しい。梶芽衣子のように、ドスの利いた声で啖呵を切って、一喝できる女優は誰かいるのだろうか。

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