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2013年4月11日 (木)

「じぇ」または「じゃ」

昨日の記事の続きになるが、「じゃ」と「じぇ」という感動詞について少し考えてみたい。

NHKの朝ドラ「あまちゃん」では、登場する役者さんたちは方言指導を受けて「じぇ」「じぇじぇ」「じぇじぇじぇ」と発音している。だが、もしかすると実際の発音は「じぇ」と「じゃ」の中間ではないのか。これは確証はない。久慈の小袖海岸方面の方がどう発音しているのか実際を聞いたことがないからだ。

しかし、aとeの中間形のような発音は実際に発音するのが難しく、また表記も「じぇぁ」しか思いつかない。だから、ネイティブ久慈民が発音しているのは、ドラマで発音されている明瞭な「じぇ」ではなく、英語のappleやcatにでてくる[ae]というaとeの中間みたいな音の「じぇ」ではないかと想像する。

昨日も書いたように旧南部領の内陸部、たとえば北上市や花巻市では「じゃ」が標準形である。盛岡でもそうだと思う。地元放送局の番組で「じゃじゃじゃTV」というタイトルのものがあるからだ。これが沿岸部の久慈では「じぇ」に変化したと思われるが、元が「じゃ」であれば、ja→jeと変化する過程でjaeあるいはjeaという中間形の発音があっても不思議ではない。

では、「じゃ」や「じぇ」の語源は何か。このところずっと考えているのだが、よく分からない。もしかすると「いや」だろうか。iyaが重なったiyaiyaiya「いやいやいや」を速く発音していくうちにjajaja「じゃじゃじゃ」に変化していったのではないか。古語の「いや」には「程度がはなはだしい、非常に」の意味を持つ副詞と、感嘆したときなどに発する感動詞の「いや」がある。これが元になっているのではなかろうか。

なぜiyaからjaに発音が変わるのか。これも思いつきなので信じ込まれても困るのだが、おそらく口をあまり開かずに発音されるからではないか。東北方言、特に岩手など北東北の方言が濁音や不明瞭な発音になるのは口の開き方が小さいからだと思う。理由は簡単で、寒いからだ。冬の期間が長く雪に閉じこめられる。そうでなくても口の重い人びとが多い土地柄である。会話もボソボソと聞き取りにくい発音で交わされることが多かったのではないか。寒いところで明瞭に発音しようと思えば、表情筋を意識的に動かすくらいのつもりでないとうまくいかない。濁音化や不明瞭化は自然な流れであろう。

方言には古語の意味が残っているものがある。たとえば、恥ずかしいという意味を表す「しょし」「しょす」あるいは「おしょしぃ」。これらは「笑止」からきているのだろう。『大辞泉』の定義では「ばかばかしいこと」の他に「気の毒なこと」「困っていること」に加えて、「恥ずかしく思うこと」というものが載っている。現代語では「笑止」に恥ずかしいという意味を持たせて使うことはなくなっているが、方言には残っているということなのだろう。

おそらく「じゃ」や「じぇ」も、古語の用法から残ってきた方言なのではなかろうかと思うのだが。

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