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2012年8月 9日 (木)

季節の移ろい

立秋が過ぎた。暦の上では秋だが、当然のことながらまだまだ暑い。それでも、立秋と聞くと、藤原敏行朝臣の

  秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる

という古今集の歌をいつも思い浮かべる。ブログに引用するのも二度目か三度目だと思う。

この歌には「秋立つ日詠める」という詞書(ことばがき)がついていたはずで、

  秋が来たと目にはっきりと見えはしないけれど、風の音で自然に気づかされることだ

というような内容の歌である。暑い日々は続いているのだけれど、盛夏を過ぎていつしか風が少しだけ涼しくなっている。気がつけば、空の青さも秋の空のそれにいくらか近づいている。

季節が夏から秋へと移り変わり始める一瞬を、「風の音」に凝縮してとらえたこの歌は繊細な感じのする歌で、古今集の中でも大好きな歌の一つである。

夏から秋に変わっていく季節の移ろいは、なにか切ない。盛んだったものの頂点がきわまり、これから秋へと下っていくのかという衰えの感触があるからかもしれない。

八月八日に奥州市の水沢区では花火大会があった。例年であれば、花火大会の始まる七時半前には生徒がすっかり帰ってしまい、教室には私一人となるのだが、今年は違った。花火大会の時間帯に授業をする生徒がいる。一応、花火大会の日の授業はどうするか前もって確認してある。花火の時間でもかまわないということだったので、競馬場で打ち上げられる花火の音を聞きながらの授業となった。

花火も、夏の終わりを告げるように感じられて、なんだか少し切ない。夜空に開く大輪の花。ずしんと響く大きな音。見上げる人びとの顔。まだまだ暑く感じる人ごみ。けれども、花火が消えた後の何もなくなってしまった夜空は寂しい。ああ、もうじき夏が終わってゆくのだな。そんな気持ちが一層強くなる。季節が循環して移ろっていくだけのことなのだが、同じ季節が巡ってくるわけではない。今年の夏は今年限りの夏だ。そういう一回性が身にしみて感じられるようになった。

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