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2011年9月12日 (月)

広河隆一『福島 原発と人びと』を読む・補足

5回に渡って広河氏の『福島 原発と人びと』(岩波新書 2011年)を紹介してきたのは、一人でも多くの人にこの広河氏の新刊を購入してもらえればと思ったからである。

「あとがき」で触れているが、広河氏は事故直後に妊婦と子どもの避難を呼びかけ、ネットを通じてヨウ素剤を集めて現地に持っていき、医師に相談した上ですぐに服用できるよう会う人びとに配った。しかし、それは自己満足の域を出たものではなかったと広河氏は言う。パニックをあおると非難されても自分の信念と責任でできることがあったはずだ、と自責の念を記す。

しかし、できることは今でも多くある。そのように広河氏は述べる。これ以上の被曝を外部からも内部からも避けるためにできることがある。子どもたちに本当の「安全」を準備すべきだとも語る。それが子どもたちに最も必要な「希望」を準備することになるからだという。

広河氏は「あとがき」の最後に次のように救援の取り組みについて触れている。

 救援の取り組みについて、伝えておきたい。本書で触れた「市民放射能測定所」の試みについては、事故から四カ月目に正式に発足した。これまで私たちは募金により、車一台、食品測定器一台を寄贈し、高性能な食品測定器を一台と簡易型測定器一台を業者から借りた。本書が出版される八月には、さらに三台の食品測定器とホールボディカウンター、九月にはさらに二台の食品測定器が手に入る。国や県に頼らない市民による測定所は、福島県内で急速に拡大し始めている。本書の印税の一部もこの目的に用いるつもりだ。
(広河隆一 『福島 原発と人びと』岩波新書 2011年 p211-212)

この一節を目にして、どうしても多くの人に読んでもらい、食品測定器を一台でも多く、測定所を一箇所でも多く増やしてほしいと思ったのだ。福島の人びとに連帯することは、私たちの明日に希望をつなぐことだと思う。

放射性物質は福島にだけ降下しているのではない。東北から関東にかけての東日本に放射性プルームとなって飛散し、地形の影響を受けて降下しいくつか線量の高い地点を作り出している。それだけではなく、食品の流通を通じて放射能は日本中に広がっている。厚生省の出している食品の基準値がいかに高いものか、数値をごらんになった方は分かると思う。放射性セシウムの場合、野菜や穀物では500ベクレル/kgを超えなければ流通可能なのだから、400ベクレルや300ベクレル/kgのものはすでに出回っているものと考えた方がいいのだろう。

福島の人びとの窮状に手を差し伸べ、自分ができることを何かすることは、明日の私たちのために何かすることにつながる。福島に食品の放射能を測定する「市民放射能測定所」が増えて、そこを中心とした活動の経験が蓄積されていけば、必ず福島以外の県にも測定所ができていく可能性を開く。線量が低いからと他人事のように見ている東北の他の県や関東の都県でも、いずれ福島と同じように食品の安全を確認しなければならなくなる日がくるのではないかと私は思っている。

すでに膨大な放射能が放出された国に住んでいる以上、他人事という安全圏はどこにもないのではないか。ある日突然それまで公表されていなかった数値や事実に愕然としても、その時には遅いのである。大手のメディアが何も取り上げなくても安全な事態になっているわけではない。人びとが情報に倦み、放射能への恐れが麻痺してきたころに、小さな扱いの記事や小さな扱いのニュース報道でとんでもない事実が明らかにされても、多くの人びとは気づかないままやり過ごしてしまうだろう。

自分たちの身を自分たちで守ることが、これから本当に必要になってくるのではないか。

「あとがき」に掲載されていた、募金や救援活動についてのリンクもそのまま以下に掲載しておきたい。

DAYS放射能測定器支援募金(代表 広河隆一)
http://daysjapanblog.seesaa.net/article/206125831.html

未来の福島こども基金(代表 黒部信一)
http://mirainofukushima.seesaa.net/

市民放射能測定所(代表 丸森あや)
http://www.crms-jpn.com/

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(代表 中手聖一)
http://kofdomofukushima.at.webry.info/

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