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2011年5月25日 (水)

朝三暮四・その3

記者クラブ問題について、昨日の記事の最後で触れたが、長年フジサンケイグループの新聞記者として取材し、東京電力や経産省の実際の姿にも詳しい松沢弘氏の講演をUsteamで見る機会があった。

松沢氏はフジサンケイグループの新聞社からリストラされ、その解雇を巡って現在係争中という方である。そういう意味ではある種の「偏り」は否めないものの、長年記者として東電や経産省を見てきた方の発言には興味深いものがある。

現在エコノミストとして大学で教えておられるようだが、それもあってか松沢氏の話は分かりやすくかつ面白かった。2時間ほどの講演なのだが、あまり長いと感じない。巧みな話術と興味深い内容がそうさせるのだと思う。

話の中で東京電力と経産省の懐の深さの違いに触れた部分があった。事故後の会見が統合会見になる前の東京電力の会見にフリーの記者でタクシー運転手を兼業されている方が出席していて、非常にするどい質問をしていたらしい。東京電力はこういう大手メディアではない記者に対しても、特別資料をきちんと渡すという配慮を見せていたという。ところが政府、経産省との統合会見になってこのフリーの記者の方はパージされてしまい、会見に出られなくなったという。

松沢氏は、経産省より東電の方が懐が深く、反対派や批判的なメディアの人間に対してもそれを取り込んでしまうような深さがあるという。つまり東電の方が懐が深い分、恐ろしいというわけである。

さまざまな話題が2時間の講演の中に盛り込まれていたので、すべてをご紹介できないが、東電の接待攻勢の実態などは興味深かった。

ヨーロッパ取材に出かける際に、松沢氏が東電に取材対象のアポを頼み、なかなか会うことができない役職の人びととの面会をすべてお膳立てしてもらった。その礼を言いに東電に出向くと、これは会長からの気持ちですがと分厚い封筒を差し出されたという。松沢氏は申し訳ないが受け取れないと断るのだが、担当者はカンカンになり「これは会長が個人的に差し出されたもので、これまで受け取りを断った方はいない」と言われたそうだ。松沢氏は社の方針ですからと平謝りに謝り、結局受け取らなかったらしい。

天下りの問題も取り上げられていた。経産省からの天下りもそうだが、東電からマスメディアへの天下りなどもあり、なるほどありそうな話だと思いながら聞いた。

今回の原発事故の報道で、なぜ新聞もテレビも東電や経産省の保安院が流す情報を「大本営発表」的に垂れ流すだけだったのか、その背後にある構造がかいま見えてくる講演内容だと思う。少し長いのだが、先ほども述べたように、分かりやすく面白い講演なのでそれほど長く感じないのではないかと思う。興味のある方は以下のリンクからUstreamの動画でどうぞ。

CS神奈川第12回懇話会「原発事故とマスコミ報道」

反リストラ産経労組委員長だったという肩書きから、松沢弘氏のイメージにはある種のバイアスがかかることはやむを得ないことだと思うが、それを割引しても面白い講演である。

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