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2010年11月15日 (月)

佐野洋子さんの訃報に接して

少し前のことになるが、佐野洋子さんが亡くなったという訃報に接した。『100万回生きたねこ』など数多くの絵本を残し、彼女の作品のファンだという方も多いかと思う。

息子がまだ幼稚園のころ、佐野さんの絵本が大好きで、よく読み聞かせたものだった。『100万回生きたねこ』もあったはずなのだが、なぜか見えなくなってしまい、未だに出てこない。『おじさんのかさ』と『おぼえていろよおおきな木』は、くり返し読んだ。

佐野さんの書く絵本は、全然説教くさくなくて私も大好きだった。ちょっとひねったユーモアがあふれていて、子どもが面白がるのはもっともだと思った。

ずいぶん以前の記事でも書いたのだけれど、『100万回生きたねこ』だけはうまく最後まで読み聞かせることができなかった。ラストがわかっているので、どうしても声が詰まってしまうことが多かったからだ。いつ読んでも、深い感動が広がる絵本だった。

なぜなのだろう。主人公の猫は何度も生き返って長い年月を経てきた不死身の猫だ。それが自分を受けとめてくれる白い猫に出会って静かに息を引き取り、二度と生き返らなかった。ただそれだけの話なのに、読んだ後にずしりと後を引いて残る感触は何なのだろう。

100万回も生きた猫は「孤独」そのものだった。白い猫に出会って初めてその孤独が癒された。だから静かに息を引き取ることができたのだろう。ひりひりするような孤独を抱えたままでは、安らかな死を迎えることができなかった。自分を受けとめてくれる存在がいかに大切な存在であるかということを、この絵本は静かに教えてくれる。決して説教くさくならず、静かな湖面に投じられた小石のように、波紋を広げ深く深く沈んでいく。何度読んでも、深い感動を引き起こす。

佐野洋子さんの新しい絵本に接することがもうできないのだと思うと、とても寂しい。しかし残された絵本の数々は、これからも世代を越えて読み継がれていくだろうと思う。佐野さんの絵本は、そういう力を持った作品なのだと今あらためて思う。

ご冥福をお祈りしたい。

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