« 急に寒くなってきた | トップページ | 読書週間なのに・その2 »

2010年10月30日 (土)

読書週間なのに

27日から読書週間が始まっている。11月9日までの二週間なのだが、今年は例年ほど本を読んでいない。全般になにごとも不調な一年だったせいもあるのだが、ゆっくり本を読むだけの精神的なゆとりがない。

ディケンズの『荒涼館』を読みかけている話は前に取り上げたが、この本もまだまだ読み終わらない。なんとか読書週間のうちにと思っていたのに、どうもあやしい雲行きだ。

ということで今年の読書週間ネタは何もありません、では芸がない。昔読んだ本でも取り上げてみようかと思う。

小説の中にはいろいろなシリーズものがある。ハリー・ポッターでもいいけれど、やはり推理小説などに面白いシリーズがある。私がハマって読んだことがあるのは、エド・マクベインが書いた87分署シリーズという警察小説である。ミステリがお好きな方は、よくご存じのシリーズだと思う。

このシリーズの何が面白いかというと、警察の(といってもアメリカの、であるが)実際の仕事の進め方に忠実に沿って書かれているところである。証拠品や現場の遺留品が出てくると写真や図で示される。科研の鑑定報告書や様々な文書も、そのままの書式で載せられる。だから読者は、登場する刑事たちと一緒に歩いて聞き込みをしたり、証拠品を確認しているような気分になってくる。

舞台となっているのはニューヨークをモデルにしたアイソラという架空の大都市だ。そのアイソラの87分署で仕事をするさまざまな刑事の群像劇である。多くの刑事が登場する中で、主役と言えるのはイタリア系の刑事、スティーブ・キャレラである。彼には耳と口が不自由だが、街を歩くと誰もが振り返るような美人の妻テディとマークとエイプリルという双子の息子と娘がいる。このキャレラ家のやりとりがほのぼのとして実にいい。

このキャレラの他に同僚のさまざまな刑事が出てくる。ユダヤ系のマイヤー・マイヤー、若くて血気盛んなバート・クリング、赤毛の大男コットン・ホース、アフリカ系アメリカ人のアーサー・ブラウンなどなどそれぞれ個性的な刑事が登場する。警部のピーター・バーンズや庶務係の警官でいつもみんなにコーヒーを入れているラルフ・ミスコロ、科研のサム・グロスマンなども欠かせない脇役たちだ。

このシリーズの一番の魅力は何だろうと考えると、正義は勝つといったような単純なメッセージではなく、とても人間味あふれる刑事たちが、自らも傷ついたり迷ったりしながら事件に取り組んでいく姿かもしれない。

シリーズがどれくらいまで続いていたのかよく分からないのでネットで調べてみると、すでに五十冊を超えていた。読んだのは四十数冊目までである。ハヤカワ文庫のシリーズで、井上一夫氏の訳が一番多かったように思う。

この87分署シリーズをもとにした映画やドラマも多く、有名なところでは黒澤明監督の「天国と地獄」などがある。作者のエド・マクベインはエヴァン・ハンター、カート・キャノンという別名のペンネームも持っており、カート・キャノン名義の『酔いどれ探偵街をゆく』なども捨てがたい魅力がある。同じハヤカワ文庫から出ている。

にほんブログ村 教育ブログ 塾・予備校教育へ 教育ブログ 塾・予備校教育

人気ブログランキングへ 人気ブログランキング(教育・学校)

|

« 急に寒くなってきた | トップページ | 読書週間なのに・その2 »

読書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 読書週間なのに:

« 急に寒くなってきた | トップページ | 読書週間なのに・その2 »