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2010年8月21日 (土)

落語の中の犬と猫・その2

前回は犬だけで一杯になり、本編の猫に入れずに終わってしまった。

狐に次いで狸と同じくらい猫の噺が多いのではないかと書いたが、猫が主役の噺もあるし猫の存在抜きでは噺が成り立たないものもある。

まずは軽い所から。「金明竹」に出てくる貸し猫の噺。親戚の店に奉公するよう預けられた与太郎が店番していると、急な雨で傘を借りに立ち寄った男がある。与太郎は傘を貸すのだが、どこの誰に貸したんだか分からない。そこで店の主が「そういう時は、うちにも貸し傘はありますがこの間からの降り続きで紙も骨もバラバラで束ねて物置に放り込んであります、と言って断りな」と教える。

分かったとうなずいた与太郎がまた店番をしていると向かいの店から、店にネズミが出たのでお宅の猫を貸してもらえないかという相談。これに対して与太郎は「うちにも貸し猫はおりますが、この間からの降り続きで、皮も骨もバラバラで束ねて物置に放り込んであります」と答える。あとでやり取りを確かめた店の主からおこられたのは言うまでもない。

これに続く部分で、店の主は「そういうときは断り方が違うんだ。うちにも猫はおりますが、畜生の浅ましさでどこかでエビのしっぽかなんか食べたんでしょう。腹をこわして寝ております。連れていっても役に立ちません。そう言って断るんだ」と教える。

与太郎がまた店番をしていると、つきあいのある店の番頭さんがやってきて、お宅の旦那様にご相談したいことがあるので来ていただくよう主から言いつかってまいりました、と告げる。待ってましたとばかりに与太郎は断りを入れる。「うちにも旦那は一匹おりますが、畜生の浅ましさにどこかでエビのしっぽかなんか食べたんでしょう。腹をこわして伏せっています。連れてっても役に立ちません。粗相をしますよ、ヘヘヘ」

バッハのカノンみたいな見事なずらしである。与太郎の語る物置に束ねられている「貸し猫」と腹をこわした猫みたいに伏せっている店の主のイメージが、妙におかしく浮かんでくる噺である。

しまった。軽くまとめるつもりが、これだけで一回分の記事を埋めてしまいそうだ。ついでにもう一つ押し込んでおこう。タイトルは「猫の皿」。これは以前、骨董の出てくる噺を紹介したときに触れているので、詳細はそちらをご覧いただくとして、大枠だけをお伝えする。

掘り出し物がないかと江戸から近在にやってきた骨董屋が、ある茶店の店先で「高麗の梅鉢」という高価な皿が、猫にごはんをやる器として使われていることに気付く。茶店の爺さんをうまく言いくるめて、その皿を巻き上げようと思った骨董屋は、店先をうろついている数匹の中から一匹の猫をつかみあげて三両で売ってくれと申し出る。

爺さんはとんでもないと断るが、骨董屋がどうしてもと望み、結局売ることに同意する。猫は食いつけない皿だと食わねえっていうから、この皿もいっしょにもらっていくぜと言う骨董屋に茶店の爺さんが、「あ、その皿はいけません。ご存じないかもしれませんが、それは高麗の梅鉢といって…」という噺である。茶店の爺さんのほうが一枚うわ手であった。

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