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2010年4月27日 (火)

『ポートレイト・イン・ジャズ』和田誠・村上春樹(新潮文庫)

第三部が話題の『1Q84』は、ほとぼりが冷めてから読もうと思い、まだ第一部も第二部も読んでいない。教室に一番近い書店では、「売り切れ中、近日入荷」の紙が平台に置かれている。やはり売れているのだなあと感心する。

村上春樹は大好きな作家の一人だ。デビューしてすぐの頃からずっと読み続けている。作品も『1Q84』を除いてほとんどの小説を読んだ。世界のあちこちで村上春樹の作品がよく読まれているらしいが、同時代の工業国に生きる人々の琴線に触れる何かが村上作品にはあるということなのだろう。

タイトルの『ポートレイト・イン・ジャズ』は小説ではない。和田誠の絵に村上春樹が文章をつけたエッセイ集である。単行本二冊を一つにまとめ、文庫化にあたり新たに三篇を加えて増補版としたもののようである。

和田誠の描くジャズ・プレイヤーの肖像も実にいいのだが、村上春樹の文章がすばらしい。この人はこんなにジャズが好きだったのかとあらためて気づかされた。選曲がこれまたいい。わざと超有名な名盤ではないものの中に入っている、そのジャズ・プレイヤーのエッセンスを味わえる演奏が選択されていたりする。

もう少し読みたいなと思いながら、あっという間に読んでしまった。小説とは異なるものの、ジャズという音楽の最良の部分をこれほどすばらしい文章で紹介した本は、今まで読んだことがない。村上春樹の文章の良さとジャズの良さの両方が伝わり、とても得をしたような気分になった。

紹介されている55人のジャズ・プレイヤーの演奏は全て聴いているわけではない。しかし、ああ、しばらく聴いてないけどジャズが聴きたくなるなあという思いがかき立てられる。ジャズに詳しい人にも、まったくジャズを聴いたことがない人にも、これから聴いてみたい人にも、村上春樹ファンにも、ファンでない人にもあらゆる人にお勧めしたい一冊だ。ジャズに対する村上春樹の愛情がひしひしと伝わってくる、そういう本である。

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