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2010年1月14日 (木)

蕩児の帰還

直接他のだれかに自分の第一印象はどうですかと聞いてみたことはないが、全く初対面の人に「学校の先生ですか」と訊ねられることはよくある。真面目そうな堅気の人間に見られているということだし、それはそれで仕事柄悪いことではない。

しかし私の中ではいつもどこかに葛藤がある。自分の本性はエピキュリアンだと思っているところがあるからだ。物事にのめり込むと際限なくやってみないと気が済まない。今はまったくギャンブルをやらないのも、どこかで歯止めが利かなくなる自分を畏れているからだ。実際、学生のころは毎日パチンコ店に開店時間早々から通ったり、新台入換と聞くと朝早くから並んだりしたこともあるくらい、ハマっていた。

また奥州市水沢区には競馬場があり、盛岡とともに定期的に地方競馬のレースが行われている。競馬に行ってみないかと誘われたことも何度かあったが、パチンコもやらなくなっていたので、水沢に来ていながら一度も足を運んだことがない。やはりどこかでのめり込んでしまうかもしれない自分の性向を畏れているところがあるからなのだろう。

お酒に関してもそうである。毎晩遅い夕食とともに発泡酒または缶ビールの350ml缶を1本だけというのが定量である。もっと飲もうと思えばまずまずの量は飲める口である。経済的な理由もあるし健康上の理由もあるが、何よりもアルコールにのめり込むかもしれない自分を畏れる。なまじ飲めるだけに、そうなる可能性は十分ある。何より酒の上での大しくじりをしでかしたことがあるので、酒を飲むときの警戒心は強い。詳しくは書けないがパトカーのお世話になったことがあるくらいの大しくじりである。トラ箱に一泊とならなかったのがせめてもの救いである。

おそらく今、その話をしても生徒や保護者は誰も信じないと思う。それくらいそういう遊蕩生活からかけ離れた所にいる人という印象を持たれていると思う。しかし先にも述べたように私の中には遊蕩にのめり込んでしまいそうなエピキュリアンが住んでいる。落語には遊びが過ぎて勘当され、初めて目が醒め真面目に働くようになる若旦那が登場するが、あれと似ていなくもない。

家系をたどってみても危ういところがあるなと思う。父方の祖父は末蔵という名前の人で、八人か九人きょうだいの末っ子だったそうだ。山形の造り酒屋に婿に入ったのだが、婿入り先から追い出されてしまう。笑ってしまうのだが、自分の所で造る酒を片っ端からこの爺さんが飲みまくり、あまりのことに愛想をつかされたのだという。母方の御先祖にも一人いる。母方の御先祖はお寺の住職なのだが、その奥さんを住まわせていた家が母の実家であったらしい。お寺では妻帯できなかったということなのだろう。この奥さんが大の博打好きでのめり込んでしまい、持っていた田地と山を借金のカタに取られてしまったらしい。いつの時代の話なのかよく分からないが、そういう話が伝わっていると母から聞いた。

ということである。つまりアルコールとギャンブルでしくじった御先祖のことを思うと、自分の中にその危険性が皆無であるとは言い切れない。女性問題を起こしたという御先祖の話は聞かないし、幸か不幸か女性問題のスキャンダルとは無縁の人生を歩んできたので、この方面ではあまり心配していないが、酒と博打は鬼門である。

『陸奥話記』のような古典と歴史にのめり込んだのは正解であった。これなら興味のない人にはけむたがられても生活を大きく崩してしまうような事態に立ち至る気遣いは無用だ。私の中にいるエピキュリアンは知的快楽でもなだめることができそうなので、当分の間、その欲求に見合うエサには事欠かない。今年は昨年から考えていた『源氏物語』読破に向けて、下準備となる平安時代の古典探究でもやってみようかと思っている。何か面白いものが見つかったら「古典の底力」シリーズのネタになるはずなので、お楽しみいただければ幸いである。

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コメント

エピキュリアンの小林先生だからこそ、あの大作を完成させることができたのだと思います。
塾教師をやっている方は少なからずエピキュリアンでしょうね。そうじゃないとやってられないですよね。
明日教室にお邪魔させて頂きます。


【学び舎主人】
おはようございます。
私の場合、熱しやすく冷めやすい軽薄なところが多分にありますので、熱病のように凝る時期があるのですが、その時期が過ぎると案外あっさりしたものになってしまいます。

雪の中の移動は大変ですから気をつけてお越し下さい。

投稿: かねごん | 2010年1月14日 (木) 09時53分

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