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2009年12月17日 (木)

北方謙三『楊令伝』雑感

北方謙三の『楊令伝 七』(集英社、2008年)をやっと読んだ。市の移動図書に貸し出しを予約してあるのだが、他にも予約が重なるためかなかなか貸し出し順が回ってこない。『楊令伝』はもうじき第十二巻が出るだろうから、大幅に読む方が遅れてしまった。

以前、北方『水滸伝』を予約していたときは予約順位が一番だったので、毎回真っ先に回ってきた。今回はなかなか来ない。次の巻までの間隔がかなり開いてしまう。それでも前の内容を忘れているわけではないので、物語の世界にすぐ入り込むことが出来た。

相変わらず面白い。登場人物の科白は、ある意味でアナクロとも思えるような大仰さを持っている。それが「臭み」に感じられる人もいるかもしれない。しかし、この時代にあえて正面切って、「誇り」とは何かを問いかけてくる科白は熱い。楊令に率いられた梁山泊の士卒は「誇り」のために闘っている。

「志」や「思い」と同じように語られなくなって久しいものの一つが「誇り」ではなかろうか。誇り高き梁山泊の将兵の姿は、読む者の心を揺さぶる。いや、「誇り」ということで言えば梁山泊軍だけでなく宋軍の指揮官たちの姿にも心が動かされる。熱い思いが自分の内側にも生じる。それは何だろうかと考えてみると、やはり「誇り」をもって生きることへの共感なのではないかと思う。自分が自分であって他の何者でもなくただ自分であることを叫びたくなる気持ちが、ふつふつと湧いてくる。

以前にも書いたことであるが、北方謙三の作品群は、吉川英治の作品群と同じような読まれ方をされていくのではないだろうか。『宮本武蔵』や『三国志』や『太閤記』と同様、生きる指針を考える刺激に満ちた作品群だと思う。だれの言葉か忘れてしまったが、「四の五の言わずたとえば吉川英治の『宮本武蔵』を読んでみればいい。生きていく上で大事なもの、学ぶべきものがすべてその中にある」という評言を覚えている。同じことが北方謙三の作品群にもそのまま当てはまる。

『水滸伝』と『楊令伝』のシリーズしか読んでいないが、北方『三国志』や「太平記」の世界を描いた『破軍の星』もこれから読んでみようかと思っている。

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