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2009年11月21日 (土)

釣りはしないのだが…・その2

昨日の記事で、八代目桂文楽師匠の「馬のす」に出てくる釣り糸に馬のしっぽを使う話はどうなんだろうと書いたところ、ちびやまめさん が「馬素(ばす)」という釣り糸があるという解説コメントを入れてくれた。それで「馬のす」というわけだ。なるほど。

落語に釣りの話が出てくるのではないか、というご要望だったので思い出せる限り書いてみたい。

まず、一番有名なのは「野晒し(のざらし)」だろう。いろいろな落語家が演じているが、私が聴いたのは三代目春風亭柳好さんと立川談志師匠がそれぞれ演じたもの。特に三代目春風亭柳好さんの「野晒し」(ニコニコ動画で見る)は、たぶん誰が選んでも一番に来るのではないかと思うほど定番の一席。短いけれども軽妙で面白い噺だと思う。

長屋のご隠居のとなりに住む男が、夜中にご隠居の部屋から若い女の声がするので怪しんで壁に穴を開けて覗き見する。十七八の若い娘がご隠居の肩をもんでいる。ちきしょう、日頃わしは女は好かんとか言っときながら…とくやしがった男は、翌日隠居のところに駆け込む。問いただしてみると、隠居は実はあれはこの世のものではない。といきさつを話し出す。

釣りの好きなご隠居が大川まで釣りに行ったのだが、さっぱり釣果がない。入相(いりあい)の鐘が鳴る頃になったので、今日はこれで帰るとするかと立ち上がったときに枯れ葦からカラスが急に飛び立つ。はて何だろうと見てみると、そこに野晒しのしゃれこうべがある。ご隠居は持参していた酒を骨にかけ、手向けの句を詠んでやった。そうしたら夜中にお礼に来ましたというわけなのじゃよ、八っつあん。

じゃあ、幽霊!幽霊でも何でもあんなきれいな女が来てくれるならいいや。ちょいと竿を貸してくんねえ。と男は隠居が大事にしている竿を持ち出して川へやって来る。大勢の釣り人がいるのだが、男はエサもつけずに釣り糸を垂れる。もしもし、あなたエサをつけてませんよ。エサなんざいらねえよ。と言いながら男は勝手に空想を始め、周囲の迷惑もかえりみず竿の先で水をかき回したりするという展開となる噺である。

この「野晒し」は釣りそのものをテーマにした噺だ。しかし釣りそのものがテーマになっている落語はなかなか他にないようだ。むしろ少しだけ描写に出てくるものの方が多いのかもしれない。

たとえば八代目林家正蔵(彦六)師匠の演じた「生きている小平次」。噺の冒頭、郡山の安積沼に浮かべた一艘の舟で、背中合わせに釣り糸を垂れている小平次と太九郎(たくろう)のシーンから始まる。しかし何を釣ろうとしていたのかは分からない。

五代目古今亭志ん生師匠の噺には釣りの描写が少し出てくる。まず「おいてけ堀」。本所のおいてけ堀は魚はつれるのだが、その魚を持っていこうとすると、どこからか「おいてけ、おいてけ」と妙な声が聞こえるのでみんな気持ち悪くなって魚を持ち帰らない。あれは狸が悪さをしていたんですな。そういう話がのんびりと続く。

それから「穴釣り三次」というタイトルの人情話がある。これもまた古今亭志ん生師匠の演じたものを聴いたことがある。この中で穴釣り三次と呼ばれた悪党が、竜泉寺にいる久米之助に会いたい一心のお嬢さんから金を巻き上げるところで、「あっしはうなぎの穴釣りが好きでして、この上野のどんどんによく来ているのですよ。」という科白がある。

あるいは同じく志ん生さんが演じる「うなぎの幇間」のマクラで、幇間が客を魚に喩えて、こう言っているとして例をあげる。往来で客の機嫌を取っておごってもらおうとするのが「岡釣り」。客の家に行って引っぱり出すのが「穴釣り」。何か手土産をエサに客を釣りだしておごってもらおうという魂胆だ。という話が出てくる。

本当はまだまだあるのだろうし、もっと釣りが前面に出てくる噺を知らないかもしれない。とりあえず思いつくまま挙げてみた。

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コメント

毎度です。

落語に登場する魚種も興味深いです。
それにしても、うなぎの穴釣りとは何でしょうね?穴釣り三次というくらいですから、かけ言葉のようなものでしょうか。
ひょっとしたら「上野のどんどん」という商業的釣堀があったのかも・・・・なんて事を想像しました。

そのうちまた釣りの落語を見つけましたらよろしくです。


【学び舎主人】
コメントありがとうございます。
「上野のどんどん」はよくわかりません。地名だろうと思うんですが…。
「うなぎの穴釣り」はドバミミズを針につけた棒状の竿をうなぎの寝床に差し込んで釣り上げる釣りのようですが、これもよく分かりません。
うなぎを寝床からエサでおびき出して釣り上げる釣りみたいです。

また、何か分かりましたら記事にします。

投稿: ちびやまめ | 2009年11月22日 (日) 00時11分

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