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2009年9月 1日 (火)

淡島様の上の句

夢が重要な役割を果たす落語について取り上げた「江戸的スローライフ・その15」(こちら) で、八代目桂文楽師匠が演じた「夢の酒」を紹介した。

その中で、「淡島様の上の句を詠んで、どうか誰それの見た夢を見させて下されば下の句も詠みましょうと願えば、他の人の見た夢が見られるそうでございます」と嫁に頼まれる大旦那が出てくる。息子の若旦那が、夢の中で女性宅にあがってお酒をごちそうになり介抱されたという話を若い妻にしたことが発端だった。嫁はやきもちから、大旦那にその夢の中の女性に意見してきてくださいということになるのだが、この「淡島様の上の句」というのが何だか分からなかった。

ネットで検索して見つけたのが、こちら のサイト。いろいろなことが詳しく出ている。その中に「淡島様」もあった。

まず、その所在地だが、この「夢の酒」は江戸の噺だろうから場所は浅草で、浅草寺境内の淡島堂に祀られる「淡島様」のようだ。それで、「淡島様の上の句」とは何かということだが、次のような歌らしい。

われたのむ人の悩みのなごめずば世にあはしまの神といはれじ

この歌の上の句を詠んで、先ほどの願いをするということのようだ。私を頼みにする人の悩みがやわらがないのであれば決して淡島の神とは言われまい、というくらいの内容だろう。おそらく「世に」のところに「決して」の意味と「世間に」の意味が掛けてあるのだろうし、「あはしま」にも「淡島」と「会ふ」の意味合いが掛けてあるのではないかと思う。要するに、頼りにする人の悩みごとが解消できないくらいなら世間に淡島様、淡島様なんて言われたりしませんよ、大船に乗ったつもりでまかせておきなさい、くらいの意味ではなかろうか。

面白い俗信があったものである。淡島様は和歌山市加太の淡嶋神社が総本社で、全国に淡嶋神社(粟島神社・淡路神社)があるようだ。淡島神を祀る淡路堂という寺も各地にあるらしい。淡島神は、もともとは婦人病治癒、安産や子授け、裁縫の上達、人形供養など、女性に関するさまざまなことに霊験あらたかな神様なのだ。豆腐に針を刺す針供養も、この淡島様で行われる。江戸時代に淡島願人と呼ばれる人々がいて、淡島明神の人形を祀った厨子を背負って淡島明神の神徳を説いて歩いたことから、淡島信仰が全国に広がったようである。

この歌にしてもだれかが、淡島様の詠んだ歌として広めたのだろう。女性の願い事を特に聞いてくれる神様として頼りにされていたから、「夢の酒」の若い嫁も頼みにしたのだろう。この「夢の酒」みたいにやきもちからかどうかは分からないが、だれかの見た夢の中に行かせてくださいという願いは、確かに女性のねがう願い事と考えた方がふさわしいのかもしれない。

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