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2009年9月 2日 (水)

土壌をつくる

植物が生長する上で土壌が果たす役割は大きい。水分や成長に必要な養分は、土中から吸収される。この土壌が痩せていると植物はうまく育たない。不毛の土地なのか豊壌なのかという違いは大変な違いをもたらす。同じ種類のお米や野菜なのに取れたところによって、まったく別物のような違いが出てくる。

土壌づくりや土壌改良がどのようなものであるのか、農家ではないので詳しくは分からない。しかし、植物がしっかりと根を張り土中深く根を広げていける土壌なら、地上の茎や枝葉を支えることができるのだろうということは想像できる。

理科で細胞分裂の問題を扱うと、タマネギなどの根の断面図がよく出てくる。根冠に保護された成長点でさかんに細胞が分裂し、分裂した細胞が成長し、根はどんどん伸びて土中深く広がっていく。触手のような根毛をさらに繰り出して、根は土中の水分と養分を吸収していく。蒸散によってポンプのように根から水が吸収されていくのだと知ったとき、なんとうまくできていることよと感心したものだ。

以前、観葉植物をいくつか自宅に置いていたことがある。今では二鉢しか残っていないが、成長して鉢が小さくなっても無精な育て手である私は植え替えをサボり、そのままにしていることが多かった。そうなると植物は生きるために必死で根を土の上まで伸ばしてくる。あ、植え替えてやらなきゃ、そう思って鉢から土ごと抜き取ってみると土を覆い尽くさんばかりの根、根、根である。ぎっしりと詰まった根を見ていると、生きるために懸命な植物の意思のようなものが伝わってきて圧倒される。

植物は生きるために自分で根を伸ばし、水分や養分を吸収していく。人も同じように考えられないだろうか。自分が成長していくために、根を伸ばしさまざまなものを吸収していけるように、豊かな土壌を用意することはできないだろうか。

理想的だと思うのは『奇跡のリンゴ』の木村秋則さんが作り出した、山の土のようなふかふかした土壌。腐葉土や微生物や虫やミミズやさまざまな生き物の相互作用によって作り出された、山の土、天然の土壌。それに近いものを用意することで木村さんはリンゴの木が本来持っていた生命力を引き出した。

ビニルハウスのような人工環境ではなく、天然に近い土壌。そういうものが用意できれば、一人一人がもっている根を伸ばしていく力によって、地表に表れた部分をしっかりと支えていけるようになるのではないか。木村さんのリンゴのことを知ったときからずっとそのことを考えている。

木村さんのリンゴのことでもう一つ思い出した。リンゴの木の周辺にある下草を伸ばしたままでいると、土の温度が下がらないためリンゴが秋になったと分からないらしい。そこで、木村さんは下草を刈ってリンゴに秋を知らせてやるという。

これも何か象徴的だ。豊かな土壌だけでは足りない。ピシリとした刺激も必要だということか。私もあれこれ試行錯誤してみなければいけない。

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コメント

奇跡のリンゴ、僕も読みましたが考えさせられましたね。まさに今の教育に対して警鐘を鳴らされたような気がしました。
放任と自然の流れにまかせることは似て非なるもの。木が何を欲しているかを常に考えてあげる姿勢は、本当に子どもの教育と同じですね。


(学び舎主人)
金田先生、コメントありがとうございます。
以前から教育と農業のアナロジーが気になっていました。たまたまNHKの「プロフェッショナル」で、木村さんのリンゴ畑の映像を眼にしたときに衝撃を受けました。それからずっと木村さんの考えているリンゴづくりを教育に置き換えてみると、どういうことをすればいいのだろうと考えています。

木村さんみたいに9年間もリンゴによる収入が無い状態で模索していく覚悟はありませんが、少しでも何かできることがないかと試行錯誤しております。

投稿: かねごん | 2009年9月 3日 (木) 22時45分

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