« 今日は朝から頭痛が… | トップページ | あれから40年 »

2009年7月28日 (火)

目に見えないもの

『奇跡のリンゴ』の木村秋則さんが新しい本を出した。『すべては宇宙の采配』という本だ。『奇跡のリンゴ』は石川拓治著、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班が作った本なので、著者は木村さんではない。今回は木村さんの著作である。

木村秋則さんのことを知ったのは、今出てきたNHKの「プロフェッショナル」という茂木健一郎氏が司会しているテレビ番組でだった。仕事から帰り晩ご飯を食べながら何げなく見ていた番組だった。歯の欠けたどこかのおじいさんが雑草の生い茂る山のようなところへ分け入っていく。何だろうなあ、ここは。ぼんやり見ていると、実はそこが木村さんのリンゴ畑であることが分かった。絶対に不可能と言われたリンゴの無農薬栽培を成功させた人だという。

おじいさんだと思っていたが、そうではなかった。苦労されたために老けて見えただけだった。無農薬でリンゴを栽培できるようになるまでの過程は、すさまじい。極貧の中でよくあきらめなかったものだと感嘆した。成功するまで9年もかかっている。

私の母親の実家は秋田でリンゴ農家だった。母親にリンゴの無農薬栽培のことを話すと「絶対に無理だ」と即座に言う。農薬を散布しなければ虫にやられてしまう。出荷できるようなまともなリンゴは作れるはずがないという話だった。『奇跡のリンゴ』を渡すと目を丸くして驚いていた。

『奇跡のリンゴ』を読んでいる人は周りに多く、その話題になったときに一様に「あそこまであきらめなかったのはすごい」と言う。何がそこまで無農薬栽培に向かわせたのか。読後ずっと気になり続けた点だった。9年と一口に言うけれども、リンゴ栽培による収入はゼロなのだ。なぜそこまでしてリンゴを無農薬で作ろうと思ったのか。

今回、木村さん自身が書いた『すべては宇宙の采配』を読んでなるほどと思った。数々の不思議な体験がそれ以前から木村さんにはあったのだ。タイトルで引いてしまう人が相当数いると思う。逆に、タイトルで手に取る人も相当数あるかもしれない。内容的にも、この手の話はどうも受け付けないという人と、なるほどそういうこともあるかもしれないという人に分かれるだろう。

しかし、茂木健一郎氏が寄せた序文の中で述べているように、この本に述べられていることは木村さんにとっての真実なのであろうと思う。この茂木氏の序文と、木村さん自身が書いた「まえがき」をしっかり読んでから本文に取りかかることをおすすめする。木村さん自身は神や仏やいかなる特定宗教も信じていない。どちらかといえば木村さん自身が「教組」であるのだが。

合理的思考をぎりぎりまで追究してなお不明なものがあるということ。植物が地下に伸ばす根が地上に出ている茎や幹や枝の二倍以上の長さに渡るということ。人間も、目に見える姿の二倍以上も目に見えない部分に支えられているのではないかと木村さんは言う。氷山の話を思い出す。氷山も目に見えている水面上の部分より何倍も大きな氷塊が海面下に隠れている。氷山の本体はどちらなのかと考えたとき、海面下の見えない部分を無視することはできない。人間も、そうなのかもしれない。

『奇跡のリンゴ』を読まれた方はもちろん、読んでいない方にも是非一読してみてはどうかと薦めたい。『星の王子さま』の「本当に大事なものは目には見えないんだよ」というセリフが沁みるように思い出される本である。

にほんブログ村 教育ブログ 塾・予備校教育へ 教育ブログ 塾・予備校教育

人気ブログランキングへ 人気ブログランキング(教育・学校)

|

« 今日は朝から頭痛が… | トップページ | あれから40年 »

読書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 目に見えないもの:

« 今日は朝から頭痛が… | トップページ | あれから40年 »