« パラレルワールド | トップページ | 紙の辞書?電子辞書? »

2009年7月18日 (土)

平岡正明が亡くなったとは…

昨日の朝日新聞文化欄に四方田犬彦氏が平岡正明を追悼する文を載せていた。

え、平岡正明が亡くなったんだ。全く知らないでいた。まだ六十代だと思うが、亡くなったのか。

平岡正明といえば筒井康隆作品やジャズの評論もするし、『山口百恵は菩薩である』『大歌謡論』などの歌謡曲評論もあり、『志ん生的、文楽的』『大落語』など落語を縦横無尽に語り尽くした快著もある。守備範囲の広い評論家であったと思う。威勢のいい語り口は読んでいて小気味よかった。

特に晩年近くなって縦横無尽に語った落語評論は傑作である。このブログで「江戸的スローライフ」のシリーズを書き始めたとき念頭にあったのが、平岡正明の落語評論だった。もちろん平岡正明の評論に太刀打ちなど出来ないが、平岡的分析方法や着眼は魅力的で、何とか雰囲気だけでもかすめ取りたいと思った。論理的でない、きわめて主観的・情緒的な落語論であるが、それゆえに平岡正明という一人の評論家の存在の面白さがよく表れている。

『志ん生的、文楽的』『大落語』は一対をなす評論集なので、落語好きの方には両方とも読むことをおすすめする。この落語評論の中には平岡自身の生い立ちを振り返った部分も多く、自伝的落語論の趣がある。この二つに描かれた古き良き時代の東京、さらには本郷の薬局だった実家の一族を描きながら考察するくだりや、少年時代の記憶に残る風景の描写は読んでいるだけでじわじわしみこんでくる不思議な味わいがある。評論集としてこの二つはネガとポジみたいな関係であるし、別テイクのジャズ演奏のような趣もある。

思えば平岡正明の評論そのものがジャズ的であった。ジャズ、落語、評論。それぞれのジャンルを自在に飛び越え行き来し、自由な思考がちりばめられた評論だった。落語評論をもっと読みたいと思っていたのだが、もう永久に新しい評論が読めないと思うと残念だ。

にほんブログ村 教育ブログ 塾・予備校教育へ 教育ブログ 塾・予備校教育

人気ブログランキングへ 人気ブログランキング(教育・学校)

|

« パラレルワールド | トップページ | 紙の辞書?電子辞書? »

読書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 平岡正明が亡くなったとは…:

« パラレルワールド | トップページ | 紙の辞書?電子辞書? »