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2009年6月12日 (金)

架空対談:藤原経清氏と振り返る「前九年の役」・その7

(「架空対談」の全文はこちら
(前九年の役の概略は「架空対談をお楽しみいただくために」をご覧下さい)

学び舎:早いものでこのシリーズも7回目を迎えました。前回に引き続き、経清さんと宗任さんのお二人をゲストにお招きしております。
宗任 :どーもぉ。いやぁ、今日もがんばっちゃうから、よろしくね。
学び舎:はあ。
経清 :あのね、この男のことはあまり考えないほうがいいですよ。あれこれ心配するほうが馬鹿を見るから。
宗任 :言ってくれるじゃない。だけど今日は小松柵攻防戦の話だろ?俺に聞かなくて誰に聞くってぇの?経清ちゃん出てないじゃん、この戦(いくさ)
経清 :それはそうだが。
宗任 :だろっ。じゃあ、話は決まりだな。今日は俺が仕切るからな。
経清 :(しぶしぶ)どうぞ、お好きに。

学び舎:あのぉ、それではさっそくですが、清原勢が攻撃を始めた時の様子から伺ってよろしいですか。
宗任 :いいよぉ。
学び舎:そもそも攻撃開始のきっかけは何だったんですか?
宗任 :んーとね、たしか清原武貞と橘頼貞の二人が偵察に来たのよ。でね、偵察だけのつもりだったんだけど、どっちの手下か知らねぇけど、フライングした野郎がいたわけよ。
学び舎:フライング?
宗任 :そう。小松柵の周りは芦原だったんだけどさ、命令も出てないのにそこに火つけやがった奴がいたのよ。こっちは様子見だろうと思ってたのに、火をつけられちゃあ黙っていられない。生かして帰すなとばかり矢を射かけたわけ。

学び舎:なるほど。ところで小松柵って良昭さんの柵ですよね?
宗任 :そうよ。
学び舎:宗任さんは、なぜ小松柵に居たんですか。偶然ですか?
宗任 :いや、偶然じゃあない。営岡(たむろがおか)に頼義将軍のおっさんと清原勢が勢揃えしたっていう情報が入ったとき、最初に攻め込まれる柵は小松柵だろうって分かっていた。それに叔父貴のとこは居心地がよかったんで、しょっちゅう行ってた。叔父貴は親父と違ってファンキーだったからね。
経清 :この男と良昭殿は似た者同士ですよ。どれだけわれわれが振り回されたか。
宗任 :何言ってやがんだ。お前さんとか貞任兄貴とかみたいな堅物ばかりだったら、とっくに俺たちは国府の連中にやられてただろうよ。良昭叔父や俺ががんばったから、なんとか厨川の決戦まで持ちこたえられたんだぜ。そこんとこ、よろしく。
経清 :よく言うよ。結局、小松柵を焼かれてしまったくせに。
宗任 :あ、そういうこと言うわけ。いくら義弟でも、今のは許せねぇよ。
経清 :許せなかったら、どうする?

学び舎:ちょ、ちょっと待っていただけますか。身内の争いは収録が終わってからにして下さい。それより、小松柵の様子をもう少し詳しくお聞かせ願えますか。
宗任 :(経清をにらみつけながら)小松柵はね、いい柵だったよ。南東が深い淵になっていて北西に岩壁があったからね。攻め入るのは容易じゃなかったはずさ。
学び舎:でも、結局焼かれてしまいますね。どこからほころびが出たのですか。
宗任 :絶対に無理だと思ってた南東の淵と北西の岩壁から攻め込まれた。有り得ないと思ってたんだよ。深江是則(ふかえのこれのり)と大伴員季(おおとものかずすえ)の決死隊が柵内に乱入してきたときは、驚いた。

学び舎:その混乱の中で、宗任さんは柵外に出て八百騎を率い果敢に国府軍を攻撃していますね。
宗任 :フ、フフ。そうなのよ。あん時は気持ちいいくらい押しまくった。
学び舎:柵の中に八百騎もいたんですか?
宗任 :いや、野営させてたのさ。柵内に入れる余裕は無かったし、騎馬の連中は馬といっしょに外にいる方が好きだったしな。
学び舎:圧倒的に優勢に立っていたのに、なぜ形勢が変わったのでしょう。
宗任 :新手の軍勢にやられたのよ。国府の奴らのほうが数は多かったからね。こっちが疲れてきた頃に新手を繰り出してきやがった。
経清 :遊撃隊を三十騎だけにしたのもまずかった。
宗任 :(むっとして)しょうがなかったんだよ。それ以上の人数は割けなかった。それに遊撃隊の三十騎だって精鋭の連中だった。ま、結果的に俺の指揮が悪かったということにはなるがな。
経清 :珍しく、しおらしいな。
宗任 :馬鹿野郎。死なせなくてもいい部下を死なせちまったんだぞ。あいつらに顔向けができると思ってんのか?
学び舎:遊撃隊はほぼ全滅だったんですね?
宗任 :そう。
学び舎:で、小松柵は焼かれてしまう。
宗任 :ああ。遠くから立ち上る火の手と煙を振り返って見たときは、口惜しくってしょうがなかった。

学び舎:では、今回はここまでといたします。次回は小松柵焼失後の戦況について、また宗任さんにお聞きしたいと思います。
宗任 :あ、また出られるわけ?そいつはありがた山のカントンチキだな。
学び舎:何ですか、それ?
宗任 :五代目古今亭志ん生の落語に出てくるフレーズだよ。だめだよ、お前さん。落語ファンなら、すぐ気がつかなきゃ。
経清 :この男の言うことは気にしなくていいですよ。どうせロクなことは言わないんだから。
学び舎:はあ。では、またお二人ともよろしくお願いします。

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