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2009年3月27日 (金)

怒りの話

先日書いた読書メモ・3月でも取り上げた五木寛之と玄侑宗久両氏の対話集「息の発見」(平凡社、2008年)にこんな部分があった。

玄侑 密教では、あくまでも内が正だと教えるわけですが、でも出すのはほんとうに邪気だという研究もあるんですよ。じつは「人間の息というのは恐いものだ」ということを調べているかたがいまして、液体空気というのがあるらしいんですけど…。
五木 液体空気?
玄侑 ええ。液体窒素ってありますね、沸点がマイナス一九〇度ぐらいの。あれと同じような低温実験用の寒剤なんですが、加圧と断熱膨張を繰り返すと、淡いブルーの液体になるらしいんです。その液体空気というものに、自分の呼気をとおすわけです。そうすると呼気の中の揮発分というか、固形分が、液体空気のなかに沈殿するわけです。
五木 息が液体のなかに沈殿する?
玄侑 ええ。それでものすごく怒っているときに吐く息の場合は、かならず栗色の沈殿物ができるんですって。一時間怒っていた人の息を吹きこんだものから採取した栗色の沈殿物は、アメリカのE・R・ゲイツ博士というかたの実験によると、その成分で、八十人も殺せるほどの猛毒だというんです(笑)。
五木 いや、その話はよく聞きます。水槽に怒った息を吹きこむと、金魚が三十秒で死んでしまうとか(笑)。怒るということは、それほど毒をふくんでいるんだと。その毒は当然、体内にも蓄積されるから、自分の怒りで自分の体を壊すことになる。だから、決して怒らないようにしようということになるのですが、なかなかね…。
玄侑 似たような話は、脳内で分泌される、ノル・アドレナリンについても聞きますよね。怒りによって生まれる活性酸素と合わさって、遺伝子の二重らせんが切れるとか。
五木 ああ。仏像にも、怒気をあらわにして、息を吹きかけている像がありますね。その息で、悪を退治するというのですが、たしかに、怒っている人の息と、なごんでいる人の息とでは、息の質がちがっているかもしれません。

怒りの毒素が液体空気に沈殿するとは面白い。怒りの言葉が飛び交う場というのが居心地悪いわけだ。毒をふくんだ息が充満しているのだから。

マイナス暗示という言葉を耳にすることがあるが、怒りの息に毒素が含まれているのであれば、否定的な言葉が発せられるときもなにか好ましくないものが吐き出されていると考えてもいいのかもしれない。その場の空気感が変わってしまうような、強いマイナス暗示をかける言葉を感情にまかせて使うことはできるだけ避けるに越したことはないようだ。

一つの言葉で人は元気になったり、落ち込んだりする。まさしく言葉は両刃の剣だという気がする。立川談志が「あのねぇ、喧嘩っていうのはねぇ、声の大きい方が勝つの」といみじくものたまわっていたが、怒気をふくんだ大声であればさぞや毒素も多かろうというもの。できるなら誰かを元気づけるような言葉を口にしていたいものだと思う。

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コメント

えー!!
凄すぎる!

(学び舎主人)
え、何が?ああ、記事の内容?なんかそういうことみたいだよ。

投稿: ★☆Luc.koki☆★ | 2009年3月27日 (金) 23時32分

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