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2009年3月20日 (金)

読書メモ・3月(2009)

先月に引き続き、受験指導と確定申告と自治会の年度末準備が重なった時期であまり読了できていない。読みかけのままにしているものが多い。その中でも読了できた本をいくつかを挙げてみよう。

1.「楊令伝 五 猩紅の章」,北方健三,集英社,2008年
2.「楊令伝 六 徂征の章」,北方健三,集英社,2008年
3.「息の発見」,五木寛之・玄侑宗久,平凡社,2008年
4.「フェルメール全点踏破の旅」,朽木ゆり子,集英社新書ヴィジュアル版,2006年

1・2とも北方健三の渾身の長編『水滸伝』の続編にあたる長編シリーズ。いやあ、たまりませんなあ。息もつかせぬ戦闘シーン。国とは何か。人の生き死にとは何か。さまざまな思いを読むたび新たにする。実は「六」を移動図書から借りて読み始めたら、冒頭の部分の「五」の続きにあたる部分の指している内容がどうも記憶になく、あわてて北上中央図書館から「五」も借りることになった。

ところが「五」を読み始めたら何のことはない以前に借りて読んでいた内容だった。せっかく借りてきたからというわけで「五」も再読したが、ところどころすっかり忘れてしまっているシーンがある。やはり借りてきてよかった。このシリーズ、すでに「七」「八」も出ているはずだからいずれ移動図書で予約図書の連絡が来ると思う。とにかく熱い思いを抱かせる長い物語を読みたい方にはおすすめ。

3の「息の発見」は五木寛之が平凡社から出している「発見」シリーズの最新刊で、対話者は禅僧で小説家の玄侑宗久。この二人が「息」をめぐって交わしている対話が面白い。テーマは息であるが、関連してさまざまな事象が語られる。「洋式・和式トイレの作法」「アメリカ人に、なぜ河童は見えないか」「肉食は睡眠時間を長くする」など対話の要所をまとめたタイトルだけ見ても興味深い。中で印象に残ったのが「人間の第一呼吸と末期の息は、吐く息か、吸う息か」という話である。五木寛之は赤ん坊は産道から息を吐いて出て、人の最期は息を吸い込みいのちを終えると考えている。一方、玄侑宗久はその逆で、赤ん坊は産道を通るときに息を吐ききっているので生まれ出てまず息を吸って産声をあげると語る。そして人間の最期の息は吸う方ではなく吐く方ではないかと医師の考えを引用する。個人的に呼吸法に興味があって読んでみたのだが、いろいろ収穫があった。

ちなみに五木寛之の対談集である平凡社の「発見」シリーズには、他に気功家の望月勇と対話した「気の発見」、カトリック司教森一弘との対談「神の発見」、そして宗教哲学者の鎌田東二との「霊の発見」があるようだ。スピリチュアルな話なので、好き嫌いの分かれるところだと思うが、興味のある方はどうぞ。

4は美しい本である。ふんだんに載せられた写真や図版だけでなく、紙質やレイアウト、数字のフォントの選択などどれも細かく神経が配られ、新書版にしてはぜいたくな一冊という感じがする。

ヨハネス・フェルメール。いつごろから興味を持つようになったんだっけ。ダリの画集で「テーブルとしても使えるデルフトのフェルメールの亡霊」という長いタイトルの作品を目にしたときが最初かもしれない。フェルメール自身の作品ではなくダリの絵で名前を知ったというのもなんだが、なかなか本人の作品を見る機会がなかった。一番最初に目にしたのは「真珠の耳飾りの少女」だと思う。ラピスラズリという宝石を使った天然ウルトラマリンの青で描かれたスカーフと軽くこちらを振り返って見る少女の目が印象的だ。もちろん画集で見たものだから本物の持つ質感はまた違うのだろう。それから「デルフト眺望」。この風景画も美しい。17世紀のオランダの風景が永遠に時を止めたかのようにキャンバスの上に切り取られている。どちらもオランダのハーグにあるマウリッツハイス美術館に所蔵されている。

この2作品も含めてフェルメールの全作品は三十数点しか確認されていない。ヨーロッパとアメリカの美術館に分散しているフェルメール作品をほぼ全点見て回るといううらやましいような企画の本である。フェルメール作品へのすぐれた入門書にもなっている一冊だと思う。

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