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2008年4月17日 (木)

遅読は楽し

新聞に載っていた速読法の広告を眺めながら、確かに10分で1冊読めたら毎日7,8冊は読めるなあ、とたまっている読みかけの本の山を視線の隅にチラリと入れました。

以前にも書いたことですが、図書館から借り出した本や自分で買った本を平行して読んでいるので、いつも読みかけの本が数冊たまったままで、なかなか減りません。だから、速読法の広告を見かけると、つい目が引き付けられてしまいます。記憶違いでなければ、ロシア語通訳で翻訳家だった米原万里さんも、1日に7,8冊以上読むと書いていたような気がします。

自慢ではありませんが読むのは遅いです。まとまって読む時間もある程度取れるのに、驚くほど読む頁数が増えないのは、読みながらあちらこちらと寄り道してしまうからかもしれません。一気に読むのがもったいないので、チビチビなめるように読む本もあったりします。あれこれ連想したり考えながら立ち止まっていると、あっという間に時間は過ぎていきます。

どうも読むのが遅いのは、情報収集目的で読んでいないからじゃないかという気がしてきました。読むこと自体が目的というか、楽しみのための読書になっているので、あまり早く楽しみが終わってしまったのではつまらない。そういう気持ちが働いて読む速度にブレーキがかかっているのかもしれません。事務的に、という言い方はおかしいですが、読むことを楽しむためではなく中身の情報だけ取り出すために読むときは、こんな私でも割に速く読んでいます。

そういうわけで、速読しても楽しみが十分味わえるならいいのですが、どうもそうではないような気がして、速読法には興味があるものの手を出さずにいます。感情の速度と知覚や思考の速度は一致しないのではないかと思うのです。単なる個人的想像ですが。

中野翠さんの『よろしく青空』というコラム集から孫引きします。解剖学者の三木成夫さんによると、人間の体は内臓系と体壁系の二つにわかれ、内臓系は吸収と排泄をつかさどり、肝臓と腎臓がその柱で全体の代表は心臓、体壁系は感覚と運動をつかさどり、その代表は脳髄なのだそうです。そして、三木さんいわく、こころは内臓の動きにあって脳にはないとのこと(詳しくは三木成夫『胎児の世界』中公新書や後藤仁敏『唯臓論』風人社をごらんください)。

してみると漠然と感じていたことも、あながちまちがいではないかもしれません。理性と感情の不一致ってありませんか。頭では認めているんだけれど、どうも気持ちがすっきりとしないとか、理解できるけれど嫌だなあとか思うときがよくあります。そうか、内臓系と体壁系の受けとめ方の違いだったのか、と納得。

というわけで、楽しみのための読書は遅読にかぎると断言して今日もチビチビ頁をめくることになりそうです。『胎児の世界』と『唯臓論』も、探して読みかけの山の中に入れなければ。

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コメント

脳と内蔵の話が気になりました。お盆に帰るので(幽霊みたい)聞かせてください♪
それと、僕も去年買ったギタリスト'ランディーローズ'の本がもったいなくて読めてません。時間は作ればあるはずなのに…


(学び舎主人から)
実は三木さんの本をまだ読んでないんだけど、お盆までにはなんとかなっているかなあ。細切れにでも時間を作った方がいいと思う。いつかいつかと思っているうちに何十年も経ってしまった、なんてこともあるしね。
それにしても「お盆に帰るので(幽霊みたい)」は受けてしまった(爆)。落語の「品川心中」に出てくる貸本屋の金さんみたい。「旅に出るって、いつ帰って来るんだよぉ」と聞かれて、「へえ、盆の十三日には」って答えるんだけど。
ともかくコメントありがとう。体に気を付けるんだぞ。

投稿: オイ | 2008年4月17日 (木) 14時26分

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