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2008年4月18日 (金)

北上展勝地さくらまつり

さくらまつりの初日なのにあいにくの雨です。

私が住んでいる北上には展勝地という桜の名所があります。日本さくらの名所百選にも選ばれ、弘前や角館とともにみちのく三大桜名所の一つになっています。毎年4月の下旬近くから5月の連休まで「さくらまつり」の期間で、各地からの観光客でにぎわいます。今年は開園87周年だそうで、少し前に配布された市の広報にも「人でいうと数えで88歳、米寿を迎えるんです」と出ていました。

展勝地は沢藤幸治さんの構想をもとに、大正10年に開園されました。ここには約1万本の桜の木があります。北上川沿いの桜並木には数百本しかありませんが、展勝地は実は桜並木から男山、国見山を含めた広大な市立公園なのです。観光バスツアーで訪れた方は桜並木から陣ヶ丘あたりを見物して帰るようですが、男山から国見山にかけての山の中にも無数の桜の木があります。

市の広報の記事によると大正時代の第2期計画事業の時に、陣ヶ丘から男山北口までの「表千本」、男山から国見山に至る付近の「奥千本」、国見山から北を望む連峰、渓谷一帯の「裏千本」を植栽し現在の展勝地ができあがったのだそうです。ですから、そこまで足を延ばす人は少ないのかもしれませんが、国見山一帯の山中に分け入ると、桜並木だけではない展勝地の魅力が味わえると思います。標高250~270メートルくらいしかない山ですが、国見山は天台系僧侶の修行の場となっていた所と考えられていて、それなりに急な勾配や岩場をくぐり抜けたり雑木林の中を通る山道になっています。登ってみようという方は、ハイヒールやサンダル履きでは無理だと思いますので、くれぐれも足許にはご用心を。

天気がいい日に、桜のトンネルが北上川沿いに延々と続く桜並木をのんびり歩くと、春になったんだなあという実感がわいてきます。子どものころから花見といえば展勝地。国見山にも小学生の頃から何度か登りました。地元の人間にとって展勝地は特別な場所ではなく、すぐそこにある当たり前の場所です。観光バスが来なくなる連休明けになると、国見山の一帯は新緑に覆われすぐに濃い緑に変わっていきます。新緑のやわらかい緑色に包まれた景色はいつ見てもいいものです。

若い頃に、北上さくらの会の事務局長で北上博物館学芸員だった熊谷明彦さんから、面白い話をうかがったことがありました。「自生している山桜はけっして群生しないんだよ。だからまとまって咲いているところは皆、人が植えたところだと思っていい。」「国見山には天台宗の僧たちが植えた薬草が残っている。植生から考えてこの辺りに自生するはずのない薬草類がたくさん見つかっているんだよ。」漢方薬店の主人でもあった熊谷さんは、専門家として国見山の薬草のことをよくご存じでした。長時間に渡って国見山や樺山遺跡(ここにはストーンサークルがあります)、平泉と白山の関係、金剛界と胎蔵界の曼陀羅について薬局の店先で講義していただいたことを思い出します。今考えると貴重なレクチャーで、しかも私一人だけで聞いたのはなんだかもったいないような気もします。もっとも曼陀羅についての話はユング派の精神分析もからんだ内容でしたので、ほとんど知識のない当方にはチンプンカンプンの内容でしたが。

展勝地は先行する歴史の上に、地元の人たちがあらたに手を入れて育ててきた公園です。この数十年の間だけでもさまざまな人が関わり、この先も多くの人が関わっていく大事な場として続いていくことだろうと思います。さくらまつりのにぎやかさが終わったら、久しぶりに国見山に登って山の中をうろうろしてこようかと考えていますが、マムシも出てくるので気を抜けません。

北上展勝地さくらまつりの詳細は「北上市」のサイト上部に「展勝地さくらまつり」のバナーが出ていますので、そちらをご覧下さい。
北上市のホームページ  http://www.city.kitakami.iwate.jp



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コメント

コメントありがとうございます。承諾のないままブログに先生の文章を貼らさせて頂きました。
 展勝地の満開の桜今年こそ見てみたいなと思っています。4月22日早朝でも軽トラックで行ってみようかなと思っています。息子に車を譲り、とうとう軽トラックのおじさんになってしまいました


(学び舎主人から)
いやあ、こちらこそありがとうございます。
22日あたりは見ごろだと思います。今年は暖かいので、早めに散り始めるのかもしれませんが、今週末くらいまでは大丈夫でしょう。

投稿: かねごん | 2008年4月19日 (土) 23時12分

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