初冬の風景
まだそれほど寒くはないが、もう晩秋ではなく初冬と呼ぶのがふさわしいような時期になった。教室にむかう車のフロントガラスの向こうに広がる国道沿いの景色が、いつの間にか冬の気配を帯びていることに不意に気がついた。
陽の光が強さを感じさせない。南中高度が下がってきたからなのだろう。午後の早い時間なのに、柔らかなベールのような光だ。その弱い光のせいか眼の前の風景も、それまで目にしていたようなくっきりとした色彩ではなく、どこか色あせて見える。少し前まで紅葉していた街路樹はほうきになっている。
銀杏の葉がすっかり散ると雪になると教えてくれたコンビニのおばあさんを思い出す。北上の教室の下にある間口の狭い小さなコンビニだった。交差点の角に面していて、斜向かいのお寺の境内に大きな銀杏の木があった。その木を指しながら、あの樹がすっかり葉を落とさないと雪は降ってこないよ、センセイ。そう言ってレジの向こうで笑った。
風に吹かれて道路に散らばった枯れ葉が舞い上がる。カサカサという乾いた音が聞こえてきそうだ。今年はどれくらい雪が降るのだろうか。まだまだ雪は先だろうと思っていても、それを見越したようにいつの間にか一面の雪景色に変わっていたりする。今日みたいな小春日和の穏やかな日は、この先あまり多くないだろう。
季節は急速に移ろっていく。

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